「ジゼル」レッスン、第7回(2/17)重要ポイントのまとめ!

本当の本当に早いもので、この3ヵ月にわたる定期講習会「ジゼル」レッスン、もう後半戦に突入でございます。

 

開講初日のジゼル第1幕のヴァリエーション&アルブレヒト第2幕のヴァリエーション、そこから4回にわたるウィリたちの群舞、そしてドゥ・ウィリのヴァリエーション。これらの振付の練習を通して、私達はバレエのテクニックに“感情”や“演技”といった表現的な要素を乗せて踊ることを、自らの心身で少しずつですが体験し、実感してきました。

 

また、とくに群舞においては“みんなでお互いを感じながら踊る”という経験をしたことで、心を開いて踊るということも少しずつわかってきた気がするのですが、受講者のみなさまどうでしょうか。

 

で、

 

ついにこの日を迎えたわけでございます。

 

2月17日(土)、「ジゼル」レッスン第7回目。

 

本日のレッスンは第1幕より、《花占いの場面》……!!!

 

この場面については、受講者のみなさんや、開講前に行った無料体験レッスン参加者のみなさんからも、「やってみたい!」というお声が多数。

はい、もちろん私も「綾さん竜太さん、ぜひ我々に花占いのチャンスを!」と、猛然とお願いしたひとりでございます。

 

こういう演技やマイムこそ、全幕作品に出演しない限りふつうは体験できないものですし、まして《花占いのマイム》なんて、ジゼル役を踊れる人=プリマ・バレリーナしか演じることができない場面です。

 

かように貴重な機会ですから、やっぱり“エア”花占いでは残念すぎるよね……と思いまして、ワタクシ、頼まれもしないのにこんなものを用意しました↓

 

 

_人人人人人人人人人人人人人_
> ど ん だ け 本 気 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

 

 

ジゼルのお家の窓辺にはこんな可愛いひなぎくの花が咲いていて、彼女はそのなかの一輪を摘み、アルブレヒト(この場面では「ロイス」と名乗っている)との恋の行方を占います。

 

_人人人人人人人人人人人人人_
> な ん て ピ ュ ア <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

 

 

そしてその恋のお相手だって、“エア”アルブレヒトでは心から演じることなどできません(`・ω・´)キリッ

ということで、今回はお二人ほどプロの男性ダンサーをお招きしました!

 

まずは松野乃知(まつの・だいち)さん。

最近まで東京バレエ団で踊っていらして、現在フリー。在団中は『ラ・シルフィード』の主役など主要な役を数々踊ってこられた方です。

あらためて間近で拝見すると、見上げるほど背が高く、お顔ときたら夏みかんくらいの大きさしかなくて、しなやかとしか言いようのない身体をお持ちで、ちょうどジュテ・アティテュードをなさった時に真後ろにおりましたら、松野さんのアティテュードの足先が私(身長163㎝)の鼻の前くらいの高さまで上がってきて驚きました(。-_-。)ポッ

 

もうひとりは浜崎恵二朗(はまさき・けいじろう)さん。

現在は新国立劇場バレエ団で踊っていらして、例えば『シンデレラ』の王子の友人とか『眠れる森の美女』の妖精たちのカバリエとか、つまりルックスにもテクニックにも秀でた男性しか任されない役にいつも配役されている方です。

浜崎さんもまた溜息が出るような小顔と長身。その長い脚を椅子に掛けたりひざまずいたりした時の格好の良さ。そしてアルブレヒト役としてちゃんとわれわれ一人ひとりの顔をのぞき込んだり目を見つめたりしてくださって、とても丁寧にお芝居をしてくださる(。-_-。)ポッ

 

そして女性の人数に対して男性2人では足りないということで、我らが髙橋竜太先生もアルブレヒトを演じてくださるとのこと……!

演技を本格的に学んでいた経歴を持つ竜太先生の芝居はまさに本物。

そしてジゼル役の見本を見せてくださったのは、も・ち・ろ・ん高木綾先生!

なだらかに、でも力強くカーブするつま先のアーチ、背中から羽が生えたようなポール・ド・ブラ、“バレリーナらしさ”が漂う首筋、横顔、柔らかな目元。

私たちはこういう動き、こういうフォルム、こういう雰囲気に憧れてバレエを始めたんだよね……と、この日、綾先生のお手本を間近で見ていて、あらためて初心を思い出しました。

 

 

ま、まずい……。

前置きだけで、こんなに長くなっている……((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

 

そんなこんなで、レッスンがスタート。

 

今回教わった場面は、第1幕、ジゼルが登場してからアルブレヒトを探し、「あれ……? なんだ、いないじゃない……」と舞台上手手前から後ずさり始めるところから

そこから始まる花占いのくだりを下記3つのパートに分けて、生徒も3グループに分かれて、各グループから一人ずつ前に出ては男性ダンサーを相手にジゼル役を演じていく――という要領で指導してくださいました。

 

(1)「なんだ、彼、いないじゃない……」とがっかりして後ずさるジゼル

→振り返るとそこにアルブレヒトが!……恥ずかしそうにうつむくジゼル

→肩を抱かれる&逃げる、手にキスされそうになる&逃げる

→「お家に帰ります……」「どうか帰らないで!」「わかりました……でもやっぱり帰ります」「待って! ちょっと座ってお話ししようよ」

→グリッサード(前・後ろ・前)、シュ・スーでベンチへ移動→ジゼルがスカートを広げてベンチに座る

 

(2)(ジゼルがベンチに座っているところから)

「ねえ、僕はどこに座ればいいの?」はにかみながらスカートを寄せてスペースを空けるジゼル

→じりじりと体を寄せてくるアルブレヒト。胸のドキドキに耐えきれず逃げるジゼル

→「待って、行かないで!」彼の声に、立ち止まるジゼル

→アルブレヒトはジゼルの腕を取って自分の腕に絡め、舞台正面へとエスコート

→腕を組んでいることもやっぱり恥ずかしくなり、そっと離れるジゼル

→そんなジゼルの顔をこちらに向かせ、「ああ、可愛い人……結婚しよう!」と誓いを立てるアルブレヒト。「そんな、早まらないで……」とジゼルはその手をそっと抑える

→「ねえ、ちょっと待って」と家のほうへ駆け出すジゼル。帰ってしまうのではと思わずドアの前に立ちふさがるアルブレヒト

→ジゼルは花を一輪摘み、グリッサード前・後ろ・前(あるいはアラベスク)でベンチへ

花占い

→花びらの数を数えて悲しい結果を知り、肩を落とすジゼル

→アルブレヒトは花びらをそっと1枚捨て、ジゼルを安心させる

→ジゼル喜ぶ。ふたりで楽しくバロテ、バロネ、ジュテ・アティテュード×2回

 

(3)(先ほどのバロテ、バロネ、ジュテ・アティテュードから)

楽しそうに戯れるふたり。左に右にと身をかわそうとするジゼルをアルブレヒトが通せんぼしたり、抱きしめようとする彼の腕をすり抜けたり

→上手前でデヴェロッペ・ドゥヴァン。そこからグラン・ジュテ×5でマネージュ

→シュ・スーで投げキスしてから、ひざまずく彼の傍に駆け寄って踏み込んでデヴェロッペ・エカルテ・ドゥヴァン

 

 

……こうやって文字にして書き連ねてみるとずいぶん長い感じがいたしますが、実際にやってみますと、はい、やっぱり長かったです。

いや、舞台で観ていると、あっという間に通り過ぎてしまうシーンだと思うんです。

でもやってみると結構な尺がありまして、、、

 

これは覚えがいがある!!!

っていうか、覚えられない!!!

 

「こういう演技の場面って、踊りの場面と違ってカウントでは動けないし(カウントで動くと仕草がすごく不自然になる!)、決まったステップ(振付)もない。なのに、やはり決まった音楽のなかで芝居をし終えないといけない。気持ちも入れなくちゃいけないし、時間が余っても足りなくなってもいけないし、とにかく覚えるのも演じるのもいちばん難しいんですよ」

 

と竜太先生。

 

まったくもって、その通りだと思いました。

 

ヴァリエーションや群舞のように振付があって、どの音でどのステップをするということが明確に指定されているというのは、ある意味で練習しやすいし、踊りやすいんだな、と。(いや、技術的にはものすごく難しいのですが><)

 

やってみていちばん感じたのは、本当に「自分はジゼルなのだ」と信じきる強さがなければ、こうした演技の場面にはまったく歯が立たない、ということでした。

一瞬でも素の自分がそこに出てきてしまうと、この時間、この場面がまったく意味のないものになってしまうんだ、ということを痛切に感じました。

 

私はまず、相手の目をまともに見ることすらできませんでした

私は最初浜崎さんに相手になっていただいたのですが、目を合わせた瞬間に、まるで想像もしていなかった形で心が動き、自分を見失ってしまいました

本当に照れて、ドギマギしてしまって、始まって0.5秒で(あれ? 次は何をやるんだっけ……?)と……。目がキョロキョロせわしなく動き、頭に入れたはずの段取りとかやるべきことが、本当に全部、全部ふっ飛んでしまいました。

 

あと、間(ま)がもたなかった

上記(1)の冒頭、振り返るとそこにアルブレヒトが立っていて、びっくりして彼の顔を見たあと、恥ずかしくて目を伏せてしまう、という場面。

その、顔が合って→目を伏せるまでの音楽が本当にやってみるとめちゃくちゃ長くて、この音楽を“恥じらいの表現”だけにフルに使いきるなんて到底ムリという感じでした(T_T)

それこそ舞台で観ている時には、この瞬間は『ジゼル』の見どころのひとつであり、私もオペラグラス片手にバレリーナそれぞれの”恥じらい方”をガン見しているのですが、観てる時と自分がやってみた時の体感時間がこんなにも違うとは。。。

 

本当にいつもこの結論になりますが、

 

プロって凄い。

 

 

正直を言いますと、この日のレッスンを終えたあと、私はすごく悲しい気持ちで家路につきました。

なぜかというと、事前に(あそこの仕草は私だったらこんな風にやってみたい!)(あのバレリーナのあの表情をマネしてみよう!)といろいろイメージして、あんなにわくわくしながらレッスンに臨んだのに、そうやって思い描いていたことなんて何ひとつできなかったからです。

最後まで、結局、自分の殻を破ることができませんでした。

 

でも!!!

 

私以外の受講者のみなさんは、すごかったですよね…?!

何がすごいって、自分なりの表現をやってみようという姿勢とか、自意識という殻をバーン!と解き放つこととか、みなさんのほうがよっぽど力強くこのレッスンに臨んでいらした

 

ご自身の可憐な個性を活かした仕草をして見せる方。

憂いの表情がことのほか上手な方。

なかには、普段の印象からは想像がつかないほど熱い演技をなさる方もいらして、おそらくスタジオ内にいた全員が、

 

北島マヤがなぜここに ……(@o@ !!

 

とびっくりしたはずです。

 

 

本当に個人的には自分のダメさを思い知る結果とはなりましたが、しかし演技の難しさというものにのっけから打ちのめされたこと自体がもう、最大の価値でもあったと思います。(その奥深さは、まだまだ底知れないに違いありませんが……)

 

みなさんと一緒にこの場面を学ぶことができて、本当に嬉しかったです。

この日のことを、私はきっとずっと忘れないと思います。

 

***

 

【“演技”全般のポイント】

 

★ジゼルのマイムは、タメが長い(音をすごくゆったり使いながら、少し遅れ気味に動くイメージ)。この長さもジゼルの醍醐味!

 

★マイムの場面は“このカウントでこの動きを…”と決まっているわけではない。だからこそ事前に音楽をたくさん聴いて、音をしっかり身体に入れておくべし

 

★相手と目を合わせたり、触れ合ったりすると、どうしても照れたり、恥ずかしかったり、ドキッとしたりしてしまうもの。しかしむしろ、その心の動きをこそ、すかさず演技に取り込むべし!

「恥ずかしい><」と思ったのなら、その恥ずかしさを観客にもわかるように表現してみせるのが演技。

そういう感情の動きがあったほうが、演技に真実味が増す

普段の私たちは、誰かと至近距離で目が合ったりするとドキッとしているのに、そのドキドキを表面には出さないように“平気な顔”という仮面をかぶっている。しかし演技ではその仮面を逆に外すべし!

 

★演技の場面においては、何があっても我に返るべからず! どんなハプニングがあろうと、物語のなかで生き続けること

 

「逃げる」「振り向く」等の動作はとくに“振付っぽく”なりがちなので注意!

 

★一緒に踊る相手のことを信用・信頼するべし

 

 

【シーン別のポイント】

 

★アルブレヒトが通せんぼするところ

ジゼルはあくまでもお家に入ろうとしているのだから、あくまでもアルブレヒトの背中の向こうにあるドアをめがけて手を伸ばすこと。あまり見当はずれな方向に腕を伸ばさないように

 

★アルブレヒトの「結婚を誓う」マイムのところ

誓いを立てるアルブレヒトの手を取って下ろす時。「嬉しいけどやめて……」という気持ちを込めて、自分のほうへ大切に引き寄せるように、静かに下ろしてくる。

 

★花占いのところ

花びらをちぎったら、少し遠くへ放るようにフワッと手から離す。客席から観やすいように。

 

★ふたりで腕を組んでバロテ→バロネ→ジュテ・アティテュードを行うところ

跳ぶパが続いてすごく動きがあるので、組んだ腕が崩壊しやすい。女性は男性の腕を上から軽く押さえる感じで形を保つと崩れにくい。

 

★ラストのデヴェロッペ・エカルテ・ドゥヴァン

・アルブレヒトの足元(左足)のすぐ横でしっかり踏み込んでからポアント(ドゥミ・ポアント)に立つ

・アルブレヒトのほうに駆けていくところはしっかり彼のほうに体を向けて進んでいく。そしてデヴェロッペする瞬間にクルッと体を反転させて表を客席に向けるようなイメージ。

ここの切り替えをはっきり見せると美しい

 

 

【ゲストからのコメント】

 

◎松野乃知さん

みなさんがちゃんと演じていて楽しかった。ひとつアドバイスするなら、演技をする時、もっと“胸”を使ってみてください。例えば花の匂いをかぐ時、本当に鼻先だけで匂うより、胸をふわ~っと膨らませるように動かしてみて。このような“胸の動き”も、バレエの表現を観客に伝わりやすくするためのポイントになる。

 

◎浜崎恵二朗さん

みなさん全体的に、少し動きが早くなりがち。あまりちゃかちゃか動くよりも、音楽をたっぷり使い、ゆったりと間を使って動いたほうがいいと思います。