「白鳥の湖」レッスン第5回(10/13)《黒鳥のヴァリエーション》のまとめ(前編)

 

いわゆる“おとなバレエ”のみなさんのなかで、“悪役”というものを踊ったことがある方は、どのくらいいらっしゃるでしょうか……?

 

少なくとも私は、おとなからバレエを始めて四半世紀、よくよく考えてみるとこれまで一度たりとも、悪い役・黒い役の類いを踊ったことはありませんでした。

 

しかし以前、某バレエカンパニーのO沢U介さんという、王子役もお似合いだけどヒール役を踊るとまたとびきり素敵な男性ダンサーにインタビューした時のこと。

「あなたは王子役と悪役(ロットバルト等)、どちらを演じるのがよりお好きですか?」と質問したところ、

「悪役です。だって、悪いことしてる時のほうが楽しいでしょ?」

と、セクシーな微笑を浮かべながらおっしゃったことがありました。

 

そのお言葉を聞いて以来、

 

何としても、生きてるうちにいちどは悪役に挑戦しなくては……・:*+.\(( °ω° ))/.:+

 

と、思いを募らせてきたワタクシ。

機会の到来を虎視眈々と狙い続けて幾年月、ついに、その夢が叶いました

 

10月13日(土)、「白鳥の湖」レッスン第5回。

練習いたしましたのは3幕より〈黒鳥のヴァリエーション〉

ジークフリート王子を欺き、哀しみの白鳥姫オデットを絶望の淵に追いやる悪魔の娘、黒鳥オディールが踊るソロでございます……!

 

 

でもみなさま、ご存じの通り、この踊りもまたヴァージョンによって2種類ありますよね。

ひとつは(A)いかにもオデットの振りをしてる感じの、優しげでゆったりとした曲調のヴァージョン

もうひとつは(B)いかにも悪という感じで“そんな禍々しい曲で踊ると悪魔ってバレちゃうよ?”と思わず突っ込みたくなるような曲調のヴァージョン

 

白鳥メイツ以外のみなさま、私たちはどちらを練習したと思われますか……?

 

事前に私が予想していたのは(A)のほう。理由は“何となく”。

その結果は……

 

 

1/2の確率なのにまたハズレ!!!

 

 

自分の勘の悪さにはほとほと呆れましたが、でもむしろ、個人的にはどちらかといえばこちらのヴァージョンのほうがやってみたかった。

なぜなら、この禍々ヴァージョンのほうが、よりワルな気持ちを堪能できそうですよね?!(≧▽≦)

 

***

 

さて、いよいよレッスンがスタート。

いつもの30ミニッツ・バーレッスンで体を温めて、すぐに振り移しが始まりました。

 

まずはプレパレーションのパートから。

具体的な振付としては、

 

①舞台下手奥の袖幕の中からセンターへ、腕を羽ばたかせながら進み出て、

②位置についてシュ・スー

③パ・ド・ブーレを踏みながら自転して、

④左脚ア・テールに折りつつ腕を下し、体の前で手首クロス

⑤体重を前に移して右脚プリエにしながらファサッと両腕をアロンジェに開いてポーズ

 

という流れ。

 

ここでオディールがターゲットにしているのはもちろんジークフリート王子です。

王子は上手前方にいるので、視線は彼にロックオンして、やや挑発的に、そして艶やかに進み出ていく……ということなのですが、まずは綾先生がお手本を見せてくださいました

 

それがもう……

 

か……かっこいい……!!!

 

一歩目の足を踏み出す時の、粘りのあるつま先の動き。

オトナの余裕をかましながらア・テールに降りる時の滑らかな動き。

ふわっと両腕を開く時の、匂い立つような艶やかさ。

あまりのかっこよさに痺れまくりながら自分でも真似してやってみたのですが、うん、やっぱりぜんぜん違う(==)

上述の通り技術的に難しいステップは何も入っていないし、動きもすごく少ないのに、何といいますか、“形の良さ”みたいなものがイチイチ違う

誰でもできるようなシンプルな動きのなかで圧倒的な違いを見せられるということこそ、プロのプロたるゆえんなのかな……と、鏡のなかの先生と自分を見比べながら、しみじみしてしまいました。

 

あと、実際に教わってあらためて”すごく素敵な振付だ!”と感動したのは、このくだりの最後、右脚プリエに踏み込みながら(後ろの脚はポワント)右腕は斜め上、左腕は横のアロンジェにサッ!と開くところ

「ここは、翼から顔をスッと覗かせるイメージです」

という説明を聞いて、何て魔性的な振付なんだろう……!と。

これだけでも”黒鳥”という存在のイメージ、求められる動きのイメージが、具体的に見えた気がしました。

 

……いかん(><)

ノリノリで書いてますが、これはまだプレパレーションです(><)

踊りの細かなポイントは最後に“バレエノート”的にまとめることにいたしまして、とりあえず先を急ぎます(><)

 

 

続いては、いきなりすごくテクニカルなパート

 

⑥左脚軸の第3アラベスク・プリエでタン・ルヴェ×6で1回転

⑦後ろに上げた右脚をルティレにしながら、ルルヴェアップでポアントまたはドゥミ・ポワントに立ってピルエット1回転(できる人は2回転)

※⑥〜⑦は、一般的なヴァリエーションだと4回タン・ルヴェ+ピルエット+フェッテという構成。しかし今回は「ディテイルを丁寧に行う練習をしたいので」(両先生)とのことで、上記のようにシンプルにしてくださいました

⑧回りきってもルルヴェをキープしたまま、ルティレの足を前→横へロン・ド。再び⑥に戻って⑧までを繰り返し×計3セット。

⑨3回目のピルエットを終えたらシュ・スーで立つ!

 

ここで心に残ったのは、タン・ルヴェで回る時にも、「少し顎を引いて、前を見据えるような強い目線で!」と言われたこと。

こんな悪者風味のタン・ルヴェを求められたことなんて、本当の本当にこれまで一度もなかった経験で、私はもう、嬉しくて嬉しくて( ;∀;)

 

アラベスクの脚はとびきり低いし、その先の足首もぶらぶらでしたが、とりあえず目線だけはキメキメで、ゴキゲンでぴょこぴょこぴょこ……とタン・ルヴェして、えいやっとピルエットしておりましたら、思わぬ“副産物”に気がつきました。

 

それは、“目線が決まると、体が安定する”ということです。

いつもだと、回転もののパとなると条件反射的に不安げな表情になって目線が泳いでしまうのですが、「あたくしオディールですけど、何か?」という気概で強い目線を意識していると、不思議とあまりグラグラしないんですね(※当社比です)。

ピルエットを回りきった後も、いつもなら秒でガクッ!と踵が落ちちゃうのに、やはり心なしか普段よりずっと長く立ったままキープできている気がしました(※あくまでも当社比です)。

 

“目線が定まっている”ということが、いかに大切か。

自分なりにでも“役になりきる”ことが、テクニック的な意味でも踊りを助けてくれるという、これはとても嬉しい体験でした。

 

 

続きまして、3のパートです。

 

⑩左脚を前のタンデュ(クロワゼ)に出し、右腕は上、左腕は横のアロンジェでポーズ

⑪両腕をボディの前に集めて手首を重ね、右方向にシャッセ。左脚をピケして立ちながら、右脚をデヴェロッペ・エカルテ・ドゥヴァン

⑫今度は右脚前で左方向にシャッセして、左脚をピケしてアティテュード・クロワゼ・デリエールに立つ

⑬後ろ方向に振り返りながら2歩歩いて、今度は右脚をピケして立ちながら、左脚をデヴェロッペ・エカルテ・ドゥヴァン

⑭左脚前で右方向にシャッセして、右脚をピケしてアティテュード・クロワゼ・デリエールに立つ

⑮後ろ方向に振り返りながら2歩歩いて、もういちど左脚ピケで右脚デヴェロッペ・エカルテ・ドゥヴァン。続いて⑫を行ってから、シュ・スーで立つ!

⑯下手奥に走っていく

 

非常に華やかで、艶やかなポーズのシークエンス。

ここもまず綾先生がお手本を見せてくださったのですが、脚が170度くらいの高さまで上がる綾先生の華麗なエカルテを拝んだ後、44度くらいまでしか上がらない自分のエカルテが鏡の中に見えてしまうのはちょっとつらかった(==)

しかしそんなことでオディール気分を見失うようでは、この貴重なレッスンがもったいないわけですよ(`・ω・´)キリッ

 

実際、このくだりもまた黒鳥の味付けをたっぷり利かせるポーズだらけで、とてもテンションが上がりました。とくに、アティテュードのところ。

 

「腕はちょっと手首を強調するような形で、強くアロンジェにしてみてください」

「アティテュードの時は、普通はちょっと顔が上を向きますけれど、黒鳥の場合は逆。軽く顎を引いて、前を見据えるような感じで!」

 

と、綾先生からのアドバイス。

言われた通りにやってみると、本当にそれだけで、いつものポーズがすごくオディールらしくなるんですね。

基本的なパが、少しニュアンスを加えるだけでぜんぜん違う表現に見える。――頭では知っていたように思うけれども、実際に体験すると、とても新鮮な発見に感じられました。

 

 

いよいよ最後のパートです。ここはもう回転あり、ジャンプありの、まさにクライマックス感満載の振付。

 

⑰右脚軸でシャッセ&ルルヴェアップしながらアラベスク×3回。腕は、1回目は体の前でクロス、2回目は斜め上のアロンジェ、3回目は横のアロンジェ。

⑱アラベスクの脚を前に下ろしてピルエット。ルティレの脚をそのまま前に出して⑰をあと2回繰り返す。

⑲ピケ・トゥール2回+クペ・ジュテ・アン・トゥールナンを3セット行いながらマネージュ。

⑳最後はピケ、ピケ、シェネ2回を行い、エファセの後ろタンデュ&両腕を斜め上のアロンジェでフィニッシュ!!

 

……正直に申します。もうこの段階では私は体も脳内も酸欠状態で、ただただ他のみなさんのマネージュの波に流されるままに、ふらふらと最後の位置まで体を運んだだけになってしまいました(でも最後のアロンジェのポーズはかっこ良かったので、そこだけ頑張ってキメました)。

 

でも実際のところ、すごいですよね。

ここまでずーっと踊って来て、最後の最後、もう肉体の疲労が最高潮に達する時に、いちばん激しい振付がやってくる。

舞台を観ていると、最後に向かってどんどん加速度がついてエネルギーもクレッシェンドしていくような踊りって素晴らしいなと思うのですが、実際にやってみると、こんなにしんどいとは……llllll(-_-;)llllll

 

私はもう文字通り息も絶え絶えだったのですが、受講者のみなさんは淡々とした表情で最後まで踊っていらして、それに本当にびっくりしました。。。

 

***

 

最後に少人数ずつのグループに分かれて、1グループずつ通して踊って、ヴァリエーション

の練習は終了。

 

……ここまでで私すでにA4用紙換算で8枚分もの長文を書いているわけですが、しかし、この日のレッスンにおいてはここまでが第1幕

じつは、この後に第2幕が開幕したのでございます……!!

 

しかしさすがに長すぎるので(><)、続きは「後編」にて。。。

最後にオディールのVaの重要ポイントを、下記の通りまとめておきます!

 

 

【重要ポイントのまとめ】

※○囲み番号は本文中と連動しています

 

①舞台下手奥の袖幕の中からセンターへ、腕を羽ばたかせながら進み出る

*オディールは自分自身が抗し難い魅力を持っていることを自覚している。自信満々で、挑発的&魅惑的な視線を王子に向けること。王子のハートを狙い撃ちするつもりで!

*1歩目の足先が大事。つま先をしっかり伸ばし、そのつま先を遠くへぐーっと押し出しつつターンアウトして体重を乗せる。この1歩目をすごく意識してから、走り出ていく。

 

②位置についてシュ・スー

*両腕は頭の上で手首と手首をふれ合わせる“白鳥ポーズ”

*目は王子を見据えて。少し顎を引いて、魔性の女っぽく上目遣いで!

*ここでグラグラしては、自信満々であるはずのオディールが台無しに……。足首を強くして、ビシッと立つ!

 

③パ・ド・ブーレを踏みながら自転

*“白鳥のアームス”同様、腕を背中から羽ばたかせて

 

④左脚ア・テールに折りつつ腕を下し、体の前で手首クロス

*ア・テールに降りる時に、両腕も自然に下に下ろしてきて、左腕は前に。右腕は後ろ→上→前と大きくゆったりと回してきて、左腕に重ねる

 

⑤体重を前に移して右脚プリエにしながらファサッと両腕を開いてポーズ

*右腕は斜め上、左腕は横にふわっ!と広げる。翼の中から顔をサッと覗かせるようなイメージで、魅惑的に!

 

⑥左脚軸の第3アラベスク・プリエでタン・ルヴェ×6で1回転

*顔は少し顎を引き気味で、強い目線で前を見据えて。普通に回る時と同じように、顔を付けることも忘れずに!

*手先はふわっと柔らかくするよりも、少し手首を強調するような意識を持つ

 

⑦後ろに上げた右脚をルティレにしながら、ルルヴェアップでポアントまたはドゥミ・ポワントに立って1回転

*軸脚プリエからルルヴェアップする時は、アラベスクで少し前傾していた腰と背中を一気に真っ直ぐ立てるつもりで。お腹と背中に力を入れて、上体を力強く引き上げて回転!

 

⑧回りきってもルルヴェをキープしたまま、ルティレの足を前→横へロン・ド。再び⑥に戻って⑧までを繰り返し×計3セット。

*ピルエットを回り終わった後も、ルルヴェをしっかりキープした状態で脚を前から横にはっきりとロン・ドできるよう頑張る

 

⑩左脚を前のタンデュ(クロワゼ)に出し、右腕は上、左腕は横のアロンジェでポーズ

*オディールらしく堂々と胸を張ってポーズ!

*腕はふんわり柔らかく使うのではなく、ちょっと大げさなくらい大きく開く

*手先も手首を少し強調するような感じで、柔らかさよりも強さを大切に

 

⑪両腕をボディの前に集めて手首を重ね、右方向にシャッセ。左脚をピケして立ちながら、右脚をデヴェロッペ・エカルテ・ドゥヴァン

⑫今度は右脚前で左方向にシャッセして、左脚をピケしてアティテュード・クロワゼ・デリエールに立つ

*このときのアームスも、手首を強調する感じのアロンジェに

*通常だとアティテュードのポーズの時は顔を少し上に向けるけれども、黒鳥の場合は逆。軽く顎を引いて、ターゲットに狙いを定めるような強い視線で!

 

⑬後ろ方向に振り返りながら2歩歩いて、今度は右脚をピケして立ちながら、左脚をデヴェロッペ・エカルテ・ドゥヴァン

*2歩歩くときは遠くへ脚を出すのではなく、自分の体に近いところで小さく回る

 

⑰右脚軸でシャッセ&ルルヴェアップしながらアラベスク×3回。腕は、1回目は体の前でクロス、2回目は斜め上のアロンジェ、3回目は横のアロンジェ。

*このときのアームスも、手首を強調する感じのアロンジェに

*2回目の腕は斜め上のアロンジェでストップ! アン・オーの位置(手首同士が触れ合うところ)までは上げないこと

*3回目の腕も、横のアロンジェでしっかり押さえるよう意識して。ここでいったん次のピルエットに備えて体勢を整える

 

⑱アラベスクの脚を前に下ろしてピルエット。ルティレの脚をそのまま前に出して⑰をあと2回繰り返す。

*ピルエットの終わりをそのまま次のシャッセに滑らかに繋げていくこと。コツは、3/4くらいまで回ったところでルティレのポジションをほどき始め、アームスもアン・ナヴァンからそのまま前のクロスに持っていくこと(いったんア・ラ・スゴンドに開かないように)

 

⑲ピケ・トゥール2回+クペ・ジュテ・アン・トゥールナンを3セット行いながらマネージュ

*ピケ2回をクルックルッ!と早めに回って、少し余裕をもってクペ・ジュテ・アン・トゥールナンに入っていったほうがいい。

*クペ・ジュテ・アン・トゥールナンは最初の踏み込みが大事。そのあとは前の脚をバットマンして跳び上がる。着地したら、その勢いのままくるりと身をひるがえすように1回転して、またピケへ