「白鳥の湖」レッスン~第2&3回(9/15・22)《第2幕より白鳥達の群舞》のまとめ

 

「白鳥の湖」レッスンBlogをご愛読のみなさま(がどれだけいてくださるかは分かりませんが……)、大変ご無沙汰いたしまして申し訳ありません。

心優しい方から「ブログがしばらく更新されてないけど、倒れてませんか?!」といったお声をかけていただいたりして、本当にありがたいことでございます。おかげさまで元気ぴんぴんです。

沈黙していた間は某新国立劇場バレエ団様の全ダンサー計69名に猛烈インタビューさせていただいたり、その原稿を書きまくったり、某東京バレエ団様の公演を観に中東オマーンまで飛んだり、ついでに砂漠をドライブして砂まみれになったり、9月に開講したばかりの弊社企画《バレエ大学》がさっそく《バレエカレッジ》と改称しなくてはならなくなってショックを受けたりしておりました。

 

そのようなわけでブログのアップが約1ヵ月も遅れてしまって、とんでもなく“今さら感”はあるのですが、やっぱり非常に重要なことをたくさん学んだ回のことは記録に残しておきたいし、その学びをみなさまと広くシェアしたい……ということで、あらためまして第2回(9/15)&第3回(9/22)のまとめを合併号でお届けいたします。

 

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学びましたのは、両日とも〈第2幕より白鳥達の群舞〉。きっと受講者のみなさまにとりましては、“大本命”のカリキュラムのひとつだったことと思います。

 

まずはもちろん、おなじみの30ミニッツ・バーレッスンからスタート。この両日とも、ご担当は竜太先生でした。

序盤のプリエのアンシェヌマンで、第4ポジションと第5ポジションの時の腕を、「せっかくだから白鳥のアームスにしましょう」と、ア・ラ・スゴンドで羽ばたかせるようなポール・ド・ブラにしてくださったのが私はすごく嬉しかったです。

ほんとにもうそれだけでテンション爆上がりでした。

 

そしてバーが終わると、第2回目では最初に“白鳥のアームス”を練習いたしました。

7月14日に行いました当講習会のプレ体験レッスンでも同様の内容を教えていただいたのですが、これは本当に、私たちのこれからのバレエライフの財産になるような、とても重要な時間だったな、と。

ですので、教わったポイントをできるだけ詳しく、下記にまとめてみます:

 

【白鳥のアームスのポイント】

《小さな羽ばたき》

①まず両腕をア・ラ・スゴンドに開き、アロンジェに(手のひらを下に向ける)。

この時、肩甲骨をぐーっと引き離して、脇の下の筋肉が横に張り出すくらい、腕を遠く遠くへ引っ張っておくこと!

②そこから、手のひらを絶対に下に向けたまま、肘を少しだけ持ち上げたり、また下げたりする練習を。

肘を後ろ→上→下と回すようなイメージ。肘先で小さな円を描くような動きを意識するとやりやすい

*とくに肘を下に下ろしていく時に手のひらが前を向きやすいので注意。うまくできない人は、誰か他の人にお願いして、手のひら下向きの形で押さえておいてもらおう

③慣れてきたら、肘から先もだんだん波打たせていく。

上に持ち上げる時は、肘→手首→指の第3関節→第2関節→第1関節の順に持ち上げて

そして下に下げる時も、肘→手首→指の第3関節→第2関節→第1関節の順に下に下げていく

これを、本当に指の先まで、関節の一つひとつを丁寧に使って、繊細に、滑らかに行えるように練習を!

 

《大きな羽ばたき》

①両腕をア・ラ・スゴンドのアロンジェから、肘→手首の順に上へ持ち上げていって、頭の上で手首と手首をくっつける(手のひらは外側を向いたまま)。

腕の動きに合わせて顔も上へ向けていく。

*この時すごく大事なことは、両腕を遠くへ、遠くへとグーッと引っ張りながら上げていくこと! 肩甲骨を引き離し、脇の下の筋肉を張り出させながら、そして頭の周りの空間を広く広く保ちながら、大きく丁寧に上げていく

*そしてもちろん、肩はぐーっと下げておく

*通常のアン・オーのポジションは、手のひらが額の斜め上にくる角度に上げていく(つまり腕は真上でなく斜め上に上げる)けれども、白鳥の場合は腕を真上に上げていく

②下に下ろしていく時も、肘→手首→指先の順に下へ。手のひらで外側の空気を優しく撫でるようにして、ドゥミ・スゴンドの位置まで下ろしていったら再び①を繰り返す(チュチュがあるので、アン・バーの位置までは下ろさない!)

*下ろしていく時も、両腕を遠くへ引っ張りながら

 

これらのポイントのなかで、個人的にいちばん新鮮な学びだったのは、「肩甲骨を引き離し、腕を遠く遠く引っ張りながら、腕を上げたり下げたりする」という点でした。

白鳥のアームスは、これまで通ってきた数々のスタジオでも時々練習したことがありましたが、こんなにも、本当に背中から、肩甲骨から、そして脇の下の筋肉まで意識しての“キープ・オン長い腕”で練習したことはなかったな……と。

 

わたくし、レッスン後は3日間ほど背中から肩にかけて凄まじい筋肉に苛まれて電車のつり革にもつかまれないほど(あるいはまさかの五十肩?)というのを2週連続で繰り返しましたが、その鈍い痛みすら白鳥を踊った証( ー`дー´)キリッという気がして、しみじみ嬉しかったです。

 

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さて、ひとくちに〈白鳥達の群舞〉といっても、結構いろいろなシーンがあります。

おなじみの登場の場面(通称“ステテコ”)。

その後のワルツ(オデット&王子のグラン・アダージオの直前)。

それから、第2幕の終盤のコーダ。

今回もまた日本史のテストに喩えるなら、「今度の試験範囲は安土桃山時代から江戸時代までな!」というくらいの感じかなと思いますが、私は「やっぱステテコのところでしょ!」と山勘を張ってレッスンに臨みました。

 

結果は――

 

ハズレ! 0点!!!

 

今回、綾先生と竜太先生が選んでくださった場面は、「白鳥達のワルツ」でした。

ヤマは外れたけど、これはこれですごく嬉しい……!

なんてったって、音楽が素敵です。

やはりワルツというのはさすが“舞曲”だなと思ったのは、ズンチャッチャ、ズンチャッチャ♪と曲が流れ始めると、私を含めてみんなが自然と腕や体を揺らし始めたこと。

おしゃれな言い方をするならば、思わず踊らされてしまう曲、それがワルツということになりましょう( ー`дー´)キリッ

 

 

今回練習いたしましたのは、東京バレエ団がかつて上演していたゴールスキー版(同バレエ団は現在はブルメイステル版、第2幕はイワーノフ版で上演しています)の振付でした。

基本的なフォーメーションは、第1〜第4グループに分かれての縦4列

その形で前後に動いたり横移動して左右がすれ違ったりしながら踊っていくわけですが、振付じたいは、比較的シンプルだったように思います(もちろん細かいこと、繰り返しのようでいてちょっとだけ違うことなどトリッキーな部分は多々ありました)。

 

何と言っても難しかったのは、白鳥達はものすごく細く踊らなくてはいけなかったこと。

第1・4グループが上手側、第2・3グループが下手側に分かれ、それぞれ舞台の端のほうに縦2列で真っ直ぐ並ぶのですが、それが前後も横も結構なぎゅうぎゅう詰め。アラベスク・ソテだの、ピケ・アティテュード・クロワゼ・ドゥヴァンだのというステップを踏むたびに、手が前の人にバシッ!横の人にビシッ!と当たるくらいのギュッとした距離感でした。

例えば通常の第一アラベスクだと、前に伸ばす腕は手先を鼻の前に、もう一方の腕は横に伸ばしますよね。

でもこの白鳥のワルツでは、上体に捻りを利かせて、腕を横じゃなく斜め後ろの方向に伸ばすのがポイント。通常のバレエ用語では説明できないようなアングルで、おもしろい経験でした。

 

それにしても。

われわれはギュウギュウ詰めですが、フロアの真ん中は誰もいない広々とした空間。

私などはステップばかりに気を取られ、ついつい細く踊る意識を忘れてしまい、その広い空間に気持ちよーく足や手をはみ出させながら踊ってしまっておりました。

すると、綾先生が両腕を広げて壁のように立ちはだかり、このようにおっしゃいました↓

 

「ここはみなさんのスペースではありません。絶対に、1センチたりともはみ出してこないように。みなさんは10センチ幅くらいの線上で踊るつもりで細く踊ってください。」

 

……10センチ幅というと、私の足幅だけではみ出してしまう狭さです( ̄ロ ̄lll)

でも、本当にそれくらい細かく厳しく意識しないと、プロの群舞の、あのビシッと揃ったラインは実現できないのですね。。。

一人ひとりが絶対に自分に許された範囲を守って踊りきること。それが美しき群舞の掟ということになりましょうか。

 

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前回の「ジゼル」レッスンでも身にしみたことですが、群舞はやはり、とても難しい。

振付を覚えるにも、まずステップを覚えて、立ち位置を覚えて、移り変わっていくフォーメーションを覚えて、動き出すタイミングを覚えて……等々、覚えることが文字通りのてんこ盛りです。

しかもこれらを自分が覚えれば良いだけじゃなくて、周りの仲間達と列を揃えなくちゃいけないし、息を合わせなくちゃいけないし、さ・ら・に、「振りをこなすこと、周りと揃えることだけに必死になるのではなくて、優雅に踊らなくてはいけません」(by綾先生)。

 

……私は舞台を観る時も、もともと群舞のシーンが大好きでしたが、こうして自分が多少なりとも群舞を学ぶ機会を得てからというもの、群舞が始まるともう目がギンギンに。そしてあたかも椅子の上に正座しているような気持ちになって、物凄く集中し、尊敬の念をもって拝見するようになりました。

 

群舞はものすごく難しい。

でも、難しいからこそ楽しくて、みんなで踊り終えた時の達成感と爽快感は格別です。

じつにやりがいがあって、学べば学ぶほど好きになる。

この感じ、たぶんジゼルメイツ(「ジゼル」レッスン受講者)や白鳥メイツ(「白鳥」レッスン受講者)のみなさまには、心底共感していただけるのではないでしょうか。