3月17日(土)。
1月からスタートした当講習会も、いよいよ第11回レッスンを迎えました。
回が進むということは、終わりが近づくということ。
レッスンはどんどんどんどん右肩上がりに楽しくなり、受講者のみなさんともどんどんどんどん“仲間”になれた気がしていて。
私はもう「もうすぐ最終回がくる……」と一瞬でも考えたら淋しさを通り越して悲しくなってしまうので、いまはただ目の前のレッスンに集中しよう!と気合を入れ直し、この日もはりきってスタジオに向かいました。
前回と今回の2回にわたってわれわれが学びましたのは、第2幕《ジゼルとアルブレヒトのパ・ド・ドゥ》の場面。
2回目であったこの日は、前回の最後に振り移しをしていただいた部分からその続きまでを、一気に練習いたしました。
振付としては、
①ジゼルとアルブレヒトがお互いに向かい合った状態で、1歩、2歩、3歩と後ろへ下がる(ミルタたちの力で二人が引き離されている)
②引き離されても、また両手を大きく横に開き、呼吸を合わせて駆け寄りハグ。この時に右手同士を握りあって、ジゼルはアルブレヒトの右肩にそっと右の額を寄せ、左腕はドゥミ・スゴンドに(この左手はアルブレヒトの背中に回して本当にハグをするパターンもあるそうです)
③右足前5番のシュ・スーに立ち、アルブレヒトと呼吸と動きを合わせつつ左腕をアン・オーに上げながらデヴェロッペ・ドゥヴァン。そのまま呼吸を使って後ろにカンブレ
④握っていた右手を斜め上のアロンジェに、左手を横のアロンジェにしながら、サッとフェッテして2番の方向で第3アラベスクに
⑤いったん左腕も前のアロンジェにしてポール・ド・ブラを見せてから、やや体をパンシェして上体を使いつつ、方向を変えて左向きのアラベスクに(方向を変えるのはアルブレヒトに任せる)
⑥右腕を下から大きく回してアラベスク・クーロンヌ・パンシェ。そのポーズをキープしてプロムナード(アルブレヒトが回してくれる)
⑦回り終える前に徐々に体を起こしていき、最後はまた第3アラベスク
⑧そのまま脚を下ろして少し後ろに下がって左脚ドゥヴァンのタンデュでプレパレーション
⑨アルブレヒトにサポートしてもらいながら、下手方向へシャッセ・ルルヴェ・アラベスク→グリッサード→ピケ・アラベスク→グリッサード→ピケ・アラベスク→グリッサード→アームスを左から上を通って右へとたなびかせながらジュテ(←ここリフト)
⑩今度は上手方向へシャッセ・ルルヴェ・アラベスク→グリッサード→ピケ・アラベスク→グリッサード→ピケ・アラベスク
⑪脚を下ろし、ウィリ・ポーズでその場でパ・ド・ブーレで足踏み。そのあいだにアルブレヒトがジゼルから離れてひざまずく。ジゼルは彼に向かってパ・ド・ブーレ・クーリュで横移動していき、彼の右脚の横に立ち、少しだけ彼に体を預けながら左脚を後ろに抜いて第1アラベスク(右腕はけっこう斜め上)
……と、ここまでを練習いたしました。
今回もまた、レッスンのやり方は前回通り。
つまり背高さん組/やや背高さん組/やや小柄さん組/小柄さん組の4組に分かれて、組ごとにひとりずつ前に出ていってはゲスト&講師の男性ダンサーにパートナーになっていただき、この①~⑪までをじっくり練習・ご指導いただきました。
もちろん、各組の担任アルブレヒト先生も前回通り。
背高さん組 ⇒ 松野乃知さん
やや背高さん組 ⇒ 浜崎恵二朗さん
やや小柄さん組 ⇒ 梅澤紘貴さん
小柄さん組 ⇒ 高橋竜太さん
という豪華な布陣で稽古をつけていただきました。
今回はパ・ド・ドゥ・レッスンの2回目ということで、”男性と組む”ということに対する緊張感もややほぐれ、みなさんそれぞれ、ご自身なりの“課題”に意識を向けて練習をする余裕も生まれていたのではないかと思います。
私自身の課題は、なんといってもコレでした↓
引き上げ。
しつこく言って恐縮ですが、私の体のどこか(たぶんお腹まわり)にくっついた1.5キロの何か(たぶん筋肉以外のもの)は、結局そのまま棲みついてしまったようで消え失せる気配なし。
かくなる上は「何があっても引き上げまくるしかない!」ということで、本当にレッスンのあいだじゅう、とにかくとにかく心の中で
(-ω-)。o○(引き上げ!)
と唱え続けました。
他の方が踊っているのを見ている間も(引き上げ!)
すごく上手に踊っていらっしゃる方に感嘆しながら(引き上げ!)
自分の番が来て、スタンバイして(引き上げ!)
シュ・スーして(引き上げ!)
フェッテして(引き上げ!)
パンシェして(引き上げ!)
アラベスクして(引き上げ!)
……
それはもう、あたかも内田裕也がいかなる局面にも「ロックンロール!」のひと言を投じるように、私もいかなる瞬間も、自らの体に対して(引き上げ!)の言葉を投じ続けました。
なのに、なのにですよ。
それだけ意識していても、やっぱり、何度でも注意されるんですね(T_T)
「ほら! 引き上げて!」
「お腹を緩めないで、上げておいて!」
「違う、体を前に倒すんじゃなくて、上に引き上げるの!」
はぁ。。。
引き上げへの道のりはまだまだ遠い(;∀;)
There is a long way to go before I master HIKIAGE(;∀;)
でも。本当にたったひとつなのですが、自分的にはものすごく嬉しいことがありました。
それは、
「私は無駄に力む必要はないんだ。自分のお腹をちゃんと引き上げて、体さえまとめておけば、パートナーの男性は、何があっても私が倒れないよう支えていてくれるんだ」
ということに、ある瞬間、ハッ!と気づけたことです。
他のみなさんは、最初からある程度ムダな力を抜いて踊れていたように見えたのですが、私自身は、本当に何をするにも、体にずっとガッチガチに力が入っていたんですね。
特に、上記でいうところの⑥アラベスク・クーロンヌ・パンシェでプロムナードをするところは、ひどかった。
何しろ、浜崎アルブレヒト様が私の腰に添えている手が、ムギュー!っていう感じじゃぜんぜんなくて、むしろ非常にソフトでお優しい。
さすがはアルブレヒト様というべきエレガントなお手元にうっとりしながらも、いやいやいや、そのようにエアリィな支え方でこのボリューミィなボディを制御できるわけがナイと。
私はもう、
あわわわわ、ムリムリムリ、倒れる倒れる倒れる…… ((;OдO))
と、毎回ひとりでむちゃくちゃ焦っていたわけです。
ところが、あれは2回目のトライの時だったでしょうか。
4組をまんべんなく巡回して指導してくださっていた綾先生が、たまたま私の近くにいらした時に、
「パンシェでプロムナードの時は、お腹だけ引き上げておいてー」
と、ひと言、おっしゃったんですね。
まさにその時、絶賛パンシェ中だったワタクシ。
(お腹か……!)
と、脂肪の奥にある腹筋をキュッと引き締めてみたら、不思議なくらいフー……と力みが無くなり、スー……という感じで、スムーズにプロムナードができた感覚を得られたんです。
ああ、これがパートナーを信頼するということ、パートナーに委ねるということなんだな、と。
こんなこと、プロのダンサーはもちろん、上手な方にとってはきっと当たり前のことに違いありません。
だけど、私にとっては、この小さな小さな“開眼体験”が、ものすごく嬉しかった。
最高に楽しくて、本当に幸せな2時間でした。
もちろん、これまた前回同様、今回の振付でもほぼすべてのステップについて何かしらの注意はきっちり頂戴いたしましたよ(・∀・)
それらは必ずやみなさまのお役にも立つことと存じますので、最後にまとめます【レッスンの重要ポイント】リストに、加えておこうと思います。
さあ、みなさま。
次回はいよいよ、ついに、とうとう、当講習会の最終回です……!!
だけど、淋しがっている場合ではありません。
なんてったって最後に挑むのは、本作の最大の難所であり、見せ場であり、われわれの人生経験と生身の感情と女・優・力が試される
《狂乱の場》
ですから……!!!
嗚呼、こんなにもシリーズのフィナーレを飾るにふさわしい内容がありましょうか(≧▽≦)
ワタクシ、みなさまににょろにょろにょろ~っとしていただく剣はご用意しました。
あとはみなさま、ヘアはきっちりシニヨンではなくクリップなどで軽くまとめて、髪を振り乱す準備をしていらしてください(`・ω・´)b
***
【ジゼルとアルブレヒトのパ・ド・ドゥのポイント】
※丸囲み番号は本文中の振付説明部分と連動しています
②ハグのところ
ちゃんとアルブレヒトの右肩に自分の右の額あたりを寄せてくっつけること。ここを恥ずかしがって離れているとすごくヘン
③デヴェロッペ・ドゥヴァン、後ろにカンブレのところ
デヴェロッペ・ドゥヴァンは、右脚を伸ばしきったらその足先を男性の脇腹あたりにそっとくっつけさせてもらうと体が安定しやすくなる(これは発表会の現場(?)で伝承されているコツとのこと)
④フェッテして2番の方向で第3アラベスク
*握っていた右手を斜め上のアロンジェに持って行く時は、男性の手をぐっと押す力を借りて、そのままストレートに目標の位置(最終的に腕を置くべき位置)へ持って行く
*フェッテをしたとき「アラベスク!」と思うと重心を前に持っていかれがち。そうではなくて、アラベスクの脚を後方へぐーっと引っぱるようにするとバランスが安定しやすい
⑥アラベスク・クーロンヌ・パンシェ、プロムナード
*右腕を下から大きく回していくところは上体も顔も大きく使って、アルブレヒトと呼吸を合わせて
*ここのアラベスク・クーロンヌ・パンシェのポジションは少々独特。アン・オーの腕が作る楕円が客席からキレイに見えるようボディを正面に開くけれども、腰はあまり開き過ぎないように(でも少ーしだけ開き気味)
*プロムナードの時は、女性はただただお腹を引き上げておくこと!
*パンシェしているし、プロムナードで回転もするため、アン・オーは左右の腕がずれてきやすいので注意。きれいなポジションをずっと保って
⑨シャッセ・ルルヴェ・アラベスク→グリッサード→ピケ・アラベスク→グリッサード→ピケ・アラベスク→グリッサード→ジュテ
*アラベスクへの立ち方は1つめだけが“ルルヴェ”で、あとの2回は“ピケ”。その差をハッキリと見せるべし
*ピケ・アラベスクは、まず出す脚を付け根からきちんとアン・ドゥオールし、膝からつま先までしっかり伸ばして美しいラインを作ってからピケ!
*アラベスクに立つ時は上に! 絶対に自分から前に倒れていかないこと。脚を高く上げすぎる必要もなし。女性はまず体をまっすぐ上に引き上げてしっかり立つ
*そこからオフバランスにするのは男性のサポートに任せる。女性は体を引き上げ続け、脚と腕を遠くへと引っぱり続ける
*ポール・ド・ブラの流れも大切に。アラベスクの時は前方に伸ばしていた腕を、グリッサードのときは後方にゆったりと差し出す。アームスの流れを断ち切らないように、滑らかに動かし続けて
*ジュテは、ちゃんとジュテ!(踏みきって跳ぶ)
⑪ラスト。アルブレヒトに体を預けながら左脚を後ろに抜いて第1アラベスク
*アラベスクに立つ時、絶対に軸脚の付け根を後ろに引かないこと! みんな後ろに引いてしまうから後ろざまにバランスが崩れてしまうけど、逆。男性の肩に付け根を思いきって持たせかけるようにして。男性を信じて、軽く体重を預けるようにして立つ
*右腕を前につん!と伸ばさないように。前ではなく、斜め上(しかもけっこう上!)のほうへかなり強く引っぱると、バランスが取れやすい
★踊り全体に関わる、松野乃知さんからの重要なアドバイス★
「みなさん、ふたつのお尻がぱかっと離ればなれにならないように、絶対にギュッとまとめておくことを忘れないでください。例えばラストのアラベスクだって、左右のお尻が離れちゃうから軸脚の付け根も引けてしまうし、体がばらばらになってバランスが取れないんです。このことは、何のパを行う時でも同じです。」