「ジゼル」レッスン、第8回(2/24)重要ポイントのまとめ!

 

前回(第7回)の《花占いの場面》の衝撃から1週間。。。

ジゼルが短いけれどいちばん幸せだったひとときを演じたレッスンから180度回れ右をしまして、2月24日(土)の第8回レッスンでは第2幕より《ミルタのヴァリエーション(しかも2種!)》を学びました。

 

愛する人と結ばれる喜びも、わが子を腕に抱く幸せも知らないまま死んでいった乙女たちの霊、ウィリ。肉体を失ってもなお消えることのない男どもへの怨みを抱え、夜な夜な森を漂う哀しき精霊たちです。

そんな精霊たちを統率するのがこの女王ミルタという役ですが、今回のレッスンでいちばん楽しみにしていたことといえば、何といっても、この役を高木綾先生に直伝していただけるということでした……!!!

 

高木綾先生こそは、東京バレエ団在団中にミルタを当たり役として大活躍したお方。
私は綾先生が初めてミルタを踊った時からおそらく一度も欠かさずに拝見しておりますが、綾さんミルタを見た時に、初めて、ミルタがその透き通る体で一心に訴えている強い憎しみや深い哀しみが分かった気がしました。

私、現在はこのように細々とっていうか長々とブログを書いておりますが、以前は某「クロワゼ」というバレエ雑誌の編集者をしておりました。
その頃に、この『ジゼル』という作品やミルタという役について、当時まだ東京バレエ団で踊っていらした綾さんにインタビューをしたことがあったんですね。
その時こんな風におっしゃっていたのを、いまも鮮明に覚えております:

 

「ウィリも、その女王たるミルタも、“心がない心を表現する”役。アームスはどこまでも柔らかく、しかし心は強く凛としたものを見せなくてはいけません。つまり、体と心を別々にして踊らなくてはいけないのです」
ウィリは憎しみや悲しみを抱いている役なので、演じていてすごくつらい。とくにミルタは、人間の男に対して怒りを持っていて、許すことができない性格。許せたらどんなに楽だろうと思うのですが――」

 

……深い。
これはもう、恋愛において天国も地獄も味わってきた我々オトナにしか踊れない役だと言っていいでしょう( ・`ー・´) + キリッ

 

そんな綾先生の言葉を思い出すともなく思い出しながら、まずはいつものようにウォーミングアップの30ミニッツ”バー・レッスン

このショートバージョンのバーもまた、この講習会ですごく楽しいことのひとつです。

日によって、綾先生か竜太先生のどちらかがバーの指導を担当してくださるのですが、綾先生は使ってくださる音楽が『ラ・バヤデール』とか『ロミオとジュリエット』とか、すごくドラマティック。その音楽の感情を活かしたアンシェヌマンを与えてくださるので、筋肉や関節も温まるけど心もすごく動いてほぐれてくる気がします。

そして竜太先生は、演劇仕込みの美声で歌うようにアンシェヌマンの指示を出してくださるのも楽しいし、何といっても名言多し! 今回は竜太先生がご担当だったのですが、タンデュだったかジュテだったか、右側のエクササイズが終わってさあ次は左ですよとなった時におっしゃった、「はい、左側もあらためて新鮮な気持ちで~」というひと言がぐっときました。
バー・レッスンって、いつもそんな風に気持ちを新鮮に入れ替えながらやると、“踊り”としての楽しさがぐっと増しそうです。

 

さて、こうして短いながらもしっかりと体が整うバー・レッスンを終えて、いよいよ《ミルタのヴァリエーション》に挑戦する時が(・∀・)キタ!!

まずはひとつ目のソロ。こちらは、

  • カブリオール・ドゥヴァン→ソテ・アラベスク→ジュテ・アティテュードを左右3回とか、
  • クペ・ジュテ・アン・トゥールナン×3連発(大技!)とか、
  • 最後はジュテ・アントルラセからクルッと振り返ってピケ・アン・ドゥオール&シェネ、そしてウィリポーズでフィニッシュ!とか、

とにかくトライするこちらのテンションを爆上げしてくれるような振付。
まさに、男性のソロに入っていても見せ場になるようなテクニックが満載です。

このソロは、テクニカルな面だけでなく、表現的な面でも、いろいろと発見をもたらしてくれるものでした。
例えば、右に左にとたなびくようにパ・ド・ブーレ・クーリュを繰り返すくだりは、とても女性的であると同時に、やはり自分は肉体のない精霊だということをあらためて思い知らされる。
しかしその後に訪れるクペ・ジュテ・アン・トゥールナン踏み込み(竜太先生語で「ザシャー!」のところ)の力強さや、そこからバッ!と跳び上がるところのビシバシ感。そしてピケ・アン・ドゥオール&シェネの、床を突き刺す鋭さ
これらの振りを自分の体でなぞっていくと、何となく、ミルタとはどういう個性の持ち主なのか、自分の体を通して理解ができて、すごく腑に落ちた感じがしました(いや、だからといって、上手く踊れたわけでは全然ないのですが><)。

 

やっぱり、バレエの振付っておもしろいなあと。
“動きに感情を乗せる”努力が必要な一方で、“その動きが感情を引き出してくれる”という面も、確かにあります。

 

あと、テクニック的な面で、個人的に(これは収穫だな!)と思ったことは、冒頭のカブリオール・ドゥヴァン→ソテ・アラベスク→ジュテ・アティテュードを左右3回のところ。

3種類のジャンプのコンビネーションにいつものごとく気ばかり焦り、鏡に映る自分を見て
「これじゃ踊ってるというよりただの荒ぶってる人だよ・・・」
と思ったその瞬間、綾先生からこんなアドバイスが。

 

「最初のグリッサードから、つま先にすごく力を入れてみてください。力を入れると脚が重くなりそうと思うかもしれないけど、その逆なんですね。つま先にしっかり力を入れて一つひとつのパを丁寧に行っていくと、脚が軽く動かせるし、全身がすごくコントロールできるんですよ」

 

なるほど、つま先ですか……!

 

やってみると、これがびっくりするくらい動きやすくなる!!(°Д°;
すごく不思議。本当に不思議。
それを意識するだけで、何となくごまかしがちだったつなぎのステップもはっきり踏める感じがしたし、なぜか順番も間違えなくなりました。

 

細かいポイントはまた後ほど鬼列挙するとして、続いては2つ目のソロ
この時点でレッスン時間はあと30分強しか残ってない!という状況だったのに、「さ、次にいきます。」新たな振付に入っちゃう先生方と、それに涼しい顔でついていく受講者のみなみなさま。

 

ヽ(-゚ヽ)トッ!! (ノ゚-゚)ノテモ!!.。゚+.(゚ー゚)ノ。+.゚ イイ!!

 

こちらのソロは、全幕の中ではドゥ・ウィリのヴァリエーションに続いて踊られるもの。
モイナとズルマがそれぞれ踊ってハケた後、ほんの一瞬だけ群舞ウィリが白い靄のようにふわ~っと舞台に広がって、それが再びサーッと左右に分かれると、その靄の切れ間に女王ミルタが凛として現れる、という流れで踊られます。

 

くぅぅ~、痺れる!!!

 

そこから始まる振付が、これまたじつに素晴らしい。

  • まず冒頭はグリッサードからのジュテ・アティテュード&アントルシャ・ロワイヤルを3セット、
  • そして下手前→上手奥へとジュテ・アントルラセ&ピケ・アン・ドゥオールから脚を後ろに抜いて第3アラベスク。これを2セット行いまして、
  • もういちどジュテ・アントルラセを行ってから、(個人的にはランベルセに次いで2番目に大好きな)ファイイ・アッサンブレをふわり、ふわりと4回も!
  • 最後はもう一度ジュテ・アントルラセをして裏向きにシェネ・トゥール、そしてアティテュード・クロワゼ・ドゥヴァン第2アラベスクという美しくも堂々とした2種類のポーズを見せてフィニッシュ!

 

綾先生曰く、
「舞台ではいつも、この場面がくると、『ああ~、この場面だ……><』と思ってました(笑)。つまり、そのくらいハードで、踊る前に覚悟が必要な踊りなんですよ」
とのこと。

 

確かに、このソロもまた、ジュテ・アティテュードだとかアントルシャ・ロワイヤルだとか、ジュテ・アントルラセだとかファイイ・アッサンブレだとか、とにかく跳んで、跳んで、跳びまくる振付。
本当に、体感としては、しょっちゅう空中に浮かんでいなくちゃいけないという印象です。

 

しかたないじゃないか、精霊だもの。(==)

 

しかしこの振付けもまた、受講者のみなさんがつるつるつる~っと難なく覚えてしまわれまして、全員が通して踊り終わってもなお、あと10分強も時間が残っている……!

先生方が「どうします? もうひとつ違うソロをやりますか?」とおっしゃった時にはワタクシもう死んだふりをしようと思いましたが、とりあえずみなさまが「いえ、いまのソロをあと1回ずつ通して踊りたいです。」とおっしゃったので、何とか九死に一生を得たしだいです。。。

 

次回(3月3日)のレッスンは

  • 第2幕 ジゼルのヴァリエーション(デヴェロッペ・ア・ラ・スゴンド、アラベスク・パンシェ、ルルヴェ・ラン等の入った振付)
  • アルブレヒトの振付
  • ジゼルとアルブレヒトのパ・ド・ドゥの予備練習

という内容を予定。

脚は89度くらいの高さまでしか上がりませんが、気分だけはしっかりジゼルになりきって挑む所存です(`・ω・´)キリッ

 

***

 

《ミルタ》のポイント】

★ミルタのヴァリエーションは体力的に非常にハード。そのため、踊り全体の中でどのように体力を配分するかがカギになる。例えばパ・ド・ブーレを踏みながら次のジャンプに備えるプレパレーション的な部分などで意識的に呼吸を整えるなど、メリハリを考えて。
★今回のVaはどちらも基本的にプリエとルルヴェの繰り返し。ルルヴェで立ってる時に呼吸を整えつつちょっと休めるくらい、身体を常に引き上げておくと良い。
★今回1つのVaだけを集中的に練習するのではなく、短時間に2種類のVaを詰め込んで踊ってもらったのには意味がある。敢えてたくさん詰め込み、体力的な限界を超えるところ(120%)まで踊ってはじめて、本番でやっと90%の力を発揮できる(緊張等でどうしても10%くらい目減りしてしまう)。プロのダンサーは本当に死ぬほど練習して舞台に向かっている。
アームスは、基本的には、自分の視界に入る位置に置いておくほうが美しい。とくにアン・オーやそこからのアロンジェ、ア・ラ・スゴンドなど、後ろまで引き過ぎてしまわないように注意。(※振付によっては例外あり)

 

【ヴァリエーションその1

★全体を通して…
*肩をしっかり下ろし、首をすごく長く引っ張っておく。そうすると無駄な力を使わずに楽に踊れる
つま先にもすごく力を入れて、しっかり伸ばして使う。そのほうがコントロールが利く

★冒頭のカブリオール・ドゥヴァン
*グリッサ―ドからカブリオールに向けて跳び上がるタイミングでアームスはアン・ナヴァンからアン・オー&ア・ラ・スゴンドに開く。その力を利用して体を引き上げる
脚は45度以下、44度の角度くらい(!)でOK。高く上げようとすると、この曲には絶対に遅れてしまう

★第2アラベスクのソテから走って回り込むところ
*顔をやや後ろに残しながらソテ
*あまり大きく回り込むと音に間に合わないので、そんなに大きくは移動しないように小さ目に回り込む

★クペ・ジュテ・アントゥールナン連続3回のところ
*連続して回る時、1セットの構成は……
クペ・プリエで床に踏み込んで1回転→②グラン・ジュテ・アティテュードでジャンプ→③着地した足ですぐに真上にホップして空中で1回転→着地して①からまた繰り返す
*①②③のリズムを擬態語で表現すると「ザシャー! ホッ! クルッ!」
 ※事務局注:竜太先生がおっしゃったのと音がちょっと違うかもです(><)
 どなたかご記憶の方、ご訂正をお願いします(><)
*グラン・ジュテで跳び上がるところは、脚を思いきって3回グラン・バットマンするイメージ
*グラン・ジュテでついた勢いを、クッペ・プリエ・アン・トゥールナン(ザシャー!のところ)で抑えるつもりで
*この3連続は勢いがだんだんついてくる。最後の3回目のグラン・ジュテを行った後はあらためてしっかりと床を踏み込んでからロン・ド・ジャンブをするべし

★ジュテ・アントルラセから振り返ってシュ・スー
*振り返ってシュ・スーは本当にその場でキリッとシャープに振り返るだけ。移動しない
アン・オーの左腕の肘を前にツイストしないように。このように片手アン・オーの時、ついボディを捻って肘を前にツイストしたポーズにしがち。実際そういう振付もあるけれど、基本的にはあくまでも正しくアン・オーのポジションを保つこと

★ピケ・アン・ドゥオール&シェネ
*ここのピケ・アン・ドゥオールは速いので、ポワントの場合は踏み込み脚を無理にプリエしようとすると間に合わない。この場合はドゥミ・ポワントで踏み込んですぐにピケすること
*右脚をパッセに上げる時、腰を開くのが間に合っていない人が多い。もったりと回るのではなく、すぐに腰を開いて振り向く!というイメージ
*シェネのあとは、歩いて歩いてスッと終わる。ポーズの前に余裕を持って、何事も無かったかのように終わるのがクール

 

【ヴァリエーションその2

★冒頭のグリッサード→ジュテ・アティテュード→アントルシャ・ロワイヤルのところ
ロワイヤルからプリエで着地した時、ボディは次に向かう方向とは逆側に少し傾けて残しながら(つまり、次に左に進むのであれば右側に傾けながら)腕をふわ~っと開く

★下手前に走っていって第3アラベスクでポーズするところ
ここは早めにスタタタターッと走っていって、サッとピケして第3アラベスクのポーズをたっぷり見せるべし

★ジュテ・アントルラセ→ピケ・アン・ドゥオールからの第3アラベスクのところ
*ピケはできれば1回転半回ってからパッセの脚(右脚)を後ろに抜く。1回転半をキレよく回るコツは、1回転のところでスポットをつけず、回り始めた瞬間からいっきに1回転半回りきったところ(つまりこの場合は正面)に意識を集中させること!
*ピケから脚を後ろに抜いてアラベスクにするところは、考えすぎず思いきって体を素早くシャープに伸ばしきるのが安定のコツ

★ファイイ・アッサンブレ×4
だんだんと階段を上っていくイメージで! 2回目のファイイは1回目よりも一段高いところに足をつく、と想像して。回数を重ねるにしたがって、腰の高さもアームスも少しずつ上げていくように