「白鳥」レッスン第5回〈後編〉オディールが王子を嘲笑う場面の演技まとめ

 

10月13日(土)第5回レッスン。

黒鳥のヴァリエーション(禍々しい音楽のヴァージョン)に挑戦し、オトナの悪女力( ー`дー´)キリッ が活きまくる目線や腕の使い方など表現のポイントを細かく学び、ラストのピケ・トゥール&クペ・ジュテ・アン・トゥールナンのマネージュではもう千鳥足になりながらも何とか通しで踊りきり、今回も最高の達成感と充実感!

 

……と思ったところまでが、この日の“第1幕”。

 

じつはここからが当講習会の真骨頂、おそらく他に例をみない内容のレッスンの幕が上がったのであります。

 

あまりにも有名な“黒鳥のグラン・フェッテ32回”(今回はすっ飛ばしました)でオディールが王子のハートをノックアウトした直後の、演技の場面。

 

「母上様、僕はこの女性と結婚したいです!」と胸いっぱいの王子に、

「では、まずは結婚の誓いを立ててもらいましょう」と迫るロットバルト。

そして王子がオディールの前に跪き、その手にキスをしようとした瞬間――

 

「ふはははは、愚かな王子よ!!!」

二人の間に割って入るロットバルト。

オディールが指を指すその方向に目をやると、窓の向こうに浮かび上がっているのは愛しいオデットの姿……。

 

「だ、だまされた……!」

 

うろたえる王子を高らかに嘲笑うオディールとロットバルト。

そして悪魔たちは疾風のように舞台奥へと駆けていき、煙のように消えてしまう――。

 

 

……と、このスピード感あふれるシーンの演技を練習いたしました。

 

 

じつはこの〈オディールが王子を嘲笑う〉というくだり、受講者のみなさまからの「やってみたい!」というリクエストが非常に多かった場面でした。

さすがみなさま、お目が高い! そして目の付け所がマニアック(笑)

 

指導する先生方からすると、「ちょ、そこだけやるって結構ムリヤリなんですけど……」という感じだったかもしれないのですが、われわれの夢と希望を叶えるため、ちゃんとレッスンに組み込んでくださった綾先生、竜太先生

 

あらためまして、心より御礼申し上げます。

 

本当に、ご無理を申しました。

 

またこの場面の主な登場人物は

・ロットバルト

・ジークフリート王子

・オディール

の3名であるわけですが、今回のレッスンでの役割分担は

 

ロットバルト役(&オディールのお手本)=綾先生

ジークフリート役(&全体的な演技のご指導)=竜太先生

オディール役=われわれ全員(25名)

 

……両先生、本当に、ご無理をおかけしました。

 

でもでも、

 

楽しかった!!!ヽ(≧▽≦)ノ

 

受講者のみなさま、演技に挑むことの楽しさ・おもしろさが、めちゃめちゃ感じられましたよね……?!?!

 

 

まず、オディールが王子に手を差し出し、誓いのキスをさせようとするところ。

ここで竜太先生が教えてくださったポイントが、非常におもしろいものでした。

 

「手はできるだけ低い位置に出してください。

気高い王子がひざまずき、身を低くしてオディールにキスを捧げる。

その様子を高い位置から見下ろすオディール……という、この場面の“上下関係”を見たい。

その高低差が大きければ大きいほど、この場面のドラマが際立ちます」

 

この場面、舞台を見ていると一瞬ですが、 “手を差し出す”何気ない動きひとつにも、これだけちゃんとドラマを計算した上での演出がなされているんですね。

個人的に、今回のレッスンで最も感動したポイントのひとつはここでした。

 

あと、手を低く出そうとすると自然と顔つきが“上から目線”になり、高飛車な気分になれるのも、ちょっと驚きでした。

 

 

そして王子にオデットの影を見せつけ、うろたえる彼を遠巻きに眺めながら「おあいにくさま〜(m`∀´)mイヒヒ」と意地悪な本性を出すところ。

ここは決まった動きはなくフリー演技ということで、われわれの女優力が試されました。

 

こういう時、必ず1人、また1人と出現するのが

 

え?北島マヤなの?

 

と見紛うような演技派のみなさま。

 

ふだんは控えめに佇んでいらっしゃるのに、こうした演技になると突然びっくりするような演技力を披露なさる

 

例えば

 

オーッホッホ! なんてお馬鹿さんな王子だこと(`∀´)」

と、場の空気が凍り付くような高笑いの感じを、身振りと表情だけで出せる方。

 

フフ……ウフフ……アーッハッハ!!!

と、徐々にクレッシェンドしていくような笑い方を表現してみせる方。

 

さも愉快そうに胸元に当てた手が、やけに妖艶な方。

 

……みなさん、あらかじめ映像などを見て予習・研究してきてくださったのでしょうか?

それとも、やはり女性というのは誰しも生まれついての女優なのでしょうか……。

 

とにもかくにも、こういう演技がパッとできてしまうのが、“人生”というものを知る大人のバレエの素敵なところ

ワタクシも結構な人生経験を積んできているはずなのですが、もう少し思いきってやらないと演技としては全く地味で、何も見えてこないんだな……と、みなさんを見ていて思いました。

 

 

その後は、お待ちかね(?)の“嘲笑う”仕草のところ。

右腕は上、左腕は横に伸ばし、状態を低いところから起こしながら揺すって「ふはははは……」と笑っている様子を動きで見せるところです。

 

こういう動きって、普段のレッスンでは絶対にやらないことですよね。

舞台で見ているとめちゃくちゃ楽しそう(?)だし、動きとしては難しそうに見えないし……ということで私も喜び勇んでやってみたのですが、

 

あ、あれ……?

 

意外とどうしたらいいかわからない。。。

 

上体や腕を大きく&規則的に上下させてしまうと、何だか奇妙なエクササイズみたいに見えてしまう

動きが小さいと、何をやっているのかが全然見えてこない

こんな難しさがあるということも、実際にやってみるまで、想像もしたこともありませんでした。

 

***

 

この日のレッスンの終盤に、先生方から素敵なアドバイスをいただきました。

最後にそれを紹介いたしまして、前後編・約1万字にわたりました第5回のまとめBlogを締めたいと思います。

 

「私もこのくだりの音楽を久々に聞いて、こんなにもドラマティックな曲を紡げるチャイコフスキーの偉大さをあらためて感じたんです。

ラッパの音は宮廷の光景をありありとイメージさせてくれて、そのなかで繰り広げられた出来事、王子の衝撃、オディールの高笑い……全部がちゃんと描かれています。

なので、みなさんもぜひ、この場面のドラマティックさを存分に感じてください。

そして恥ずかしがらず、思いきり心を入れて演じてみてください」(綾先生)

 

「このたった1回のレッスン、たった20分ばかりの時間のなかでは、みなさん絶対どうしていいかわからなかったはず。

だけどその割には、みなさんからこの場面のストーリーが見えました。

それは、指差すとか、肩や腕を揺らして笑うとか、ある程度“振り”が与えられたからだと思う。

振付というのは、その形をきちんと追えば、物語やセリフや感情が客席に伝わるようにできています。

顎を上げて上から目線を投げれば、ちゃんと邪悪に見える。

今日は、振付という“形”そのものが、役柄や感情を伝えるのだということを学べたと思います。

あとは、みなさん自身から発せられる表情や感情が、その“形”に伴ってくるともっといいですね」(竜太先生)

 

 

「白鳥の湖」レッスン第5回(10/13)《黒鳥のヴァリエーション》のまとめ(前編)

 

いわゆる“おとなバレエ”のみなさんのなかで、“悪役”というものを踊ったことがある方は、どのくらいいらっしゃるでしょうか……?

 

少なくとも私は、おとなからバレエを始めて四半世紀、よくよく考えてみるとこれまで一度たりとも、悪い役・黒い役の類いを踊ったことはありませんでした。

 

しかし以前、某バレエカンパニーのO沢U介さんという、王子役もお似合いだけどヒール役を踊るとまたとびきり素敵な男性ダンサーにインタビューした時のこと。

「あなたは王子役と悪役(ロットバルト等)、どちらを演じるのがよりお好きですか?」と質問したところ、

「悪役です。だって、悪いことしてる時のほうが楽しいでしょ?」

と、セクシーな微笑を浮かべながらおっしゃったことがありました。

 

そのお言葉を聞いて以来、

 

何としても、生きてるうちにいちどは悪役に挑戦しなくては……・:*+.\(( °ω° ))/.:+

 

と、思いを募らせてきたワタクシ。

機会の到来を虎視眈々と狙い続けて幾年月、ついに、その夢が叶いました

 

10月13日(土)、「白鳥の湖」レッスン第5回。

練習いたしましたのは3幕より〈黒鳥のヴァリエーション〉

ジークフリート王子を欺き、哀しみの白鳥姫オデットを絶望の淵に追いやる悪魔の娘、黒鳥オディールが踊るソロでございます……!

 

 

でもみなさま、ご存じの通り、この踊りもまたヴァージョンによって2種類ありますよね。

ひとつは(A)いかにもオデットの振りをしてる感じの、優しげでゆったりとした曲調のヴァージョン

もうひとつは(B)いかにも悪という感じで“そんな禍々しい曲で踊ると悪魔ってバレちゃうよ?”と思わず突っ込みたくなるような曲調のヴァージョン

 

白鳥メイツ以外のみなさま、私たちはどちらを練習したと思われますか……?

 

事前に私が予想していたのは(A)のほう。理由は“何となく”。

その結果は……

 

 

1/2の確率なのにまたハズレ!!!

 

 

自分の勘の悪さにはほとほと呆れましたが、でもむしろ、個人的にはどちらかといえばこちらのヴァージョンのほうがやってみたかった。

なぜなら、この禍々ヴァージョンのほうが、よりワルな気持ちを堪能できそうですよね?!(≧▽≦)

 

***

 

さて、いよいよレッスンがスタート。

いつもの30ミニッツ・バーレッスンで体を温めて、すぐに振り移しが始まりました。

 

まずはプレパレーションのパートから。

具体的な振付としては、

 

①舞台下手奥の袖幕の中からセンターへ、腕を羽ばたかせながら進み出て、

②位置についてシュ・スー

③パ・ド・ブーレを踏みながら自転して、

④左脚ア・テールに折りつつ腕を下し、体の前で手首クロス

⑤体重を前に移して右脚プリエにしながらファサッと両腕をアロンジェに開いてポーズ

 

という流れ。

 

ここでオディールがターゲットにしているのはもちろんジークフリート王子です。

王子は上手前方にいるので、視線は彼にロックオンして、やや挑発的に、そして艶やかに進み出ていく……ということなのですが、まずは綾先生がお手本を見せてくださいました

 

それがもう……

 

か……かっこいい……!!!

 

一歩目の足を踏み出す時の、粘りのあるつま先の動き。

オトナの余裕をかましながらア・テールに降りる時の滑らかな動き。

ふわっと両腕を開く時の、匂い立つような艶やかさ。

あまりのかっこよさに痺れまくりながら自分でも真似してやってみたのですが、うん、やっぱりぜんぜん違う(==)

上述の通り技術的に難しいステップは何も入っていないし、動きもすごく少ないのに、何といいますか、“形の良さ”みたいなものがイチイチ違う

誰でもできるようなシンプルな動きのなかで圧倒的な違いを見せられるということこそ、プロのプロたるゆえんなのかな……と、鏡のなかの先生と自分を見比べながら、しみじみしてしまいました。

 

あと、実際に教わってあらためて”すごく素敵な振付だ!”と感動したのは、このくだりの最後、右脚プリエに踏み込みながら(後ろの脚はポワント)右腕は斜め上、左腕は横のアロンジェにサッ!と開くところ

「ここは、翼から顔をスッと覗かせるイメージです」

という説明を聞いて、何て魔性的な振付なんだろう……!と。

これだけでも”黒鳥”という存在のイメージ、求められる動きのイメージが、具体的に見えた気がしました。

 

……いかん(><)

ノリノリで書いてますが、これはまだプレパレーションです(><)

踊りの細かなポイントは最後に“バレエノート”的にまとめることにいたしまして、とりあえず先を急ぎます(><)

 

 

続いては、いきなりすごくテクニカルなパート

 

⑥左脚軸の第3アラベスク・プリエでタン・ルヴェ×6で1回転

⑦後ろに上げた右脚をルティレにしながら、ルルヴェアップでポアントまたはドゥミ・ポワントに立ってピルエット1回転(できる人は2回転)

※⑥〜⑦は、一般的なヴァリエーションだと4回タン・ルヴェ+ピルエット+フェッテという構成。しかし今回は「ディテイルを丁寧に行う練習をしたいので」(両先生)とのことで、上記のようにシンプルにしてくださいました

⑧回りきってもルルヴェをキープしたまま、ルティレの足を前→横へロン・ド。再び⑥に戻って⑧までを繰り返し×計3セット。

⑨3回目のピルエットを終えたらシュ・スーで立つ!

 

ここで心に残ったのは、タン・ルヴェで回る時にも、「少し顎を引いて、前を見据えるような強い目線で!」と言われたこと。

こんな悪者風味のタン・ルヴェを求められたことなんて、本当の本当にこれまで一度もなかった経験で、私はもう、嬉しくて嬉しくて( ;∀;)

 

アラベスクの脚はとびきり低いし、その先の足首もぶらぶらでしたが、とりあえず目線だけはキメキメで、ゴキゲンでぴょこぴょこぴょこ……とタン・ルヴェして、えいやっとピルエットしておりましたら、思わぬ“副産物”に気がつきました。

 

それは、“目線が決まると、体が安定する”ということです。

いつもだと、回転もののパとなると条件反射的に不安げな表情になって目線が泳いでしまうのですが、「あたくしオディールですけど、何か?」という気概で強い目線を意識していると、不思議とあまりグラグラしないんですね(※当社比です)。

ピルエットを回りきった後も、いつもなら秒でガクッ!と踵が落ちちゃうのに、やはり心なしか普段よりずっと長く立ったままキープできている気がしました(※あくまでも当社比です)。

 

“目線が定まっている”ということが、いかに大切か。

自分なりにでも“役になりきる”ことが、テクニック的な意味でも踊りを助けてくれるという、これはとても嬉しい体験でした。

 

 

続きまして、3のパートです。

 

⑩左脚を前のタンデュ(クロワゼ)に出し、右腕は上、左腕は横のアロンジェでポーズ

⑪両腕をボディの前に集めて手首を重ね、右方向にシャッセ。左脚をピケして立ちながら、右脚をデヴェロッペ・エカルテ・ドゥヴァン

⑫今度は右脚前で左方向にシャッセして、左脚をピケしてアティテュード・クロワゼ・デリエールに立つ

⑬後ろ方向に振り返りながら2歩歩いて、今度は右脚をピケして立ちながら、左脚をデヴェロッペ・エカルテ・ドゥヴァン

⑭左脚前で右方向にシャッセして、右脚をピケしてアティテュード・クロワゼ・デリエールに立つ

⑮後ろ方向に振り返りながら2歩歩いて、もういちど左脚ピケで右脚デヴェロッペ・エカルテ・ドゥヴァン。続いて⑫を行ってから、シュ・スーで立つ!

⑯下手奥に走っていく

 

非常に華やかで、艶やかなポーズのシークエンス。

ここもまず綾先生がお手本を見せてくださったのですが、脚が170度くらいの高さまで上がる綾先生の華麗なエカルテを拝んだ後、44度くらいまでしか上がらない自分のエカルテが鏡の中に見えてしまうのはちょっとつらかった(==)

しかしそんなことでオディール気分を見失うようでは、この貴重なレッスンがもったいないわけですよ(`・ω・´)キリッ

 

実際、このくだりもまた黒鳥の味付けをたっぷり利かせるポーズだらけで、とてもテンションが上がりました。とくに、アティテュードのところ。

 

「腕はちょっと手首を強調するような形で、強くアロンジェにしてみてください」

「アティテュードの時は、普通はちょっと顔が上を向きますけれど、黒鳥の場合は逆。軽く顎を引いて、前を見据えるような感じで!」

 

と、綾先生からのアドバイス。

言われた通りにやってみると、本当にそれだけで、いつものポーズがすごくオディールらしくなるんですね。

基本的なパが、少しニュアンスを加えるだけでぜんぜん違う表現に見える。――頭では知っていたように思うけれども、実際に体験すると、とても新鮮な発見に感じられました。

 

 

いよいよ最後のパートです。ここはもう回転あり、ジャンプありの、まさにクライマックス感満載の振付。

 

⑰右脚軸でシャッセ&ルルヴェアップしながらアラベスク×3回。腕は、1回目は体の前でクロス、2回目は斜め上のアロンジェ、3回目は横のアロンジェ。

⑱アラベスクの脚を前に下ろしてピルエット。ルティレの脚をそのまま前に出して⑰をあと2回繰り返す。

⑲ピケ・トゥール2回+クペ・ジュテ・アン・トゥールナンを3セット行いながらマネージュ。

⑳最後はピケ、ピケ、シェネ2回を行い、エファセの後ろタンデュ&両腕を斜め上のアロンジェでフィニッシュ!!

 

……正直に申します。もうこの段階では私は体も脳内も酸欠状態で、ただただ他のみなさんのマネージュの波に流されるままに、ふらふらと最後の位置まで体を運んだだけになってしまいました(でも最後のアロンジェのポーズはかっこ良かったので、そこだけ頑張ってキメました)。

 

でも実際のところ、すごいですよね。

ここまでずーっと踊って来て、最後の最後、もう肉体の疲労が最高潮に達する時に、いちばん激しい振付がやってくる。

舞台を観ていると、最後に向かってどんどん加速度がついてエネルギーもクレッシェンドしていくような踊りって素晴らしいなと思うのですが、実際にやってみると、こんなにしんどいとは……llllll(-_-;)llllll

 

私はもう文字通り息も絶え絶えだったのですが、受講者のみなさんは淡々とした表情で最後まで踊っていらして、それに本当にびっくりしました。。。

 

***

 

最後に少人数ずつのグループに分かれて、1グループずつ通して踊って、ヴァリエーション

の練習は終了。

 

……ここまでで私すでにA4用紙換算で8枚分もの長文を書いているわけですが、しかし、この日のレッスンにおいてはここまでが第1幕

じつは、この後に第2幕が開幕したのでございます……!!

 

しかしさすがに長すぎるので(><)、続きは「後編」にて。。。

最後にオディールのVaの重要ポイントを、下記の通りまとめておきます!

 

 

【重要ポイントのまとめ】

※○囲み番号は本文中と連動しています

 

①舞台下手奥の袖幕の中からセンターへ、腕を羽ばたかせながら進み出る

*オディールは自分自身が抗し難い魅力を持っていることを自覚している。自信満々で、挑発的&魅惑的な視線を王子に向けること。王子のハートを狙い撃ちするつもりで!

*1歩目の足先が大事。つま先をしっかり伸ばし、そのつま先を遠くへぐーっと押し出しつつターンアウトして体重を乗せる。この1歩目をすごく意識してから、走り出ていく。

 

②位置についてシュ・スー

*両腕は頭の上で手首と手首をふれ合わせる“白鳥ポーズ”

*目は王子を見据えて。少し顎を引いて、魔性の女っぽく上目遣いで!

*ここでグラグラしては、自信満々であるはずのオディールが台無しに……。足首を強くして、ビシッと立つ!

 

③パ・ド・ブーレを踏みながら自転

*“白鳥のアームス”同様、腕を背中から羽ばたかせて

 

④左脚ア・テールに折りつつ腕を下し、体の前で手首クロス

*ア・テールに降りる時に、両腕も自然に下に下ろしてきて、左腕は前に。右腕は後ろ→上→前と大きくゆったりと回してきて、左腕に重ねる

 

⑤体重を前に移して右脚プリエにしながらファサッと両腕を開いてポーズ

*右腕は斜め上、左腕は横にふわっ!と広げる。翼の中から顔をサッと覗かせるようなイメージで、魅惑的に!

 

⑥左脚軸の第3アラベスク・プリエでタン・ルヴェ×6で1回転

*顔は少し顎を引き気味で、強い目線で前を見据えて。普通に回る時と同じように、顔を付けることも忘れずに!

*手先はふわっと柔らかくするよりも、少し手首を強調するような意識を持つ

 

⑦後ろに上げた右脚をルティレにしながら、ルルヴェアップでポアントまたはドゥミ・ポワントに立って1回転

*軸脚プリエからルルヴェアップする時は、アラベスクで少し前傾していた腰と背中を一気に真っ直ぐ立てるつもりで。お腹と背中に力を入れて、上体を力強く引き上げて回転!

 

⑧回りきってもルルヴェをキープしたまま、ルティレの足を前→横へロン・ド。再び⑥に戻って⑧までを繰り返し×計3セット。

*ピルエットを回り終わった後も、ルルヴェをしっかりキープした状態で脚を前から横にはっきりとロン・ドできるよう頑張る

 

⑩左脚を前のタンデュ(クロワゼ)に出し、右腕は上、左腕は横のアロンジェでポーズ

*オディールらしく堂々と胸を張ってポーズ!

*腕はふんわり柔らかく使うのではなく、ちょっと大げさなくらい大きく開く

*手先も手首を少し強調するような感じで、柔らかさよりも強さを大切に

 

⑪両腕をボディの前に集めて手首を重ね、右方向にシャッセ。左脚をピケして立ちながら、右脚をデヴェロッペ・エカルテ・ドゥヴァン

⑫今度は右脚前で左方向にシャッセして、左脚をピケしてアティテュード・クロワゼ・デリエールに立つ

*このときのアームスも、手首を強調する感じのアロンジェに

*通常だとアティテュードのポーズの時は顔を少し上に向けるけれども、黒鳥の場合は逆。軽く顎を引いて、ターゲットに狙いを定めるような強い視線で!

 

⑬後ろ方向に振り返りながら2歩歩いて、今度は右脚をピケして立ちながら、左脚をデヴェロッペ・エカルテ・ドゥヴァン

*2歩歩くときは遠くへ脚を出すのではなく、自分の体に近いところで小さく回る

 

⑰右脚軸でシャッセ&ルルヴェアップしながらアラベスク×3回。腕は、1回目は体の前でクロス、2回目は斜め上のアロンジェ、3回目は横のアロンジェ。

*このときのアームスも、手首を強調する感じのアロンジェに

*2回目の腕は斜め上のアロンジェでストップ! アン・オーの位置(手首同士が触れ合うところ)までは上げないこと

*3回目の腕も、横のアロンジェでしっかり押さえるよう意識して。ここでいったん次のピルエットに備えて体勢を整える

 

⑱アラベスクの脚を前に下ろしてピルエット。ルティレの脚をそのまま前に出して⑰をあと2回繰り返す。

*ピルエットの終わりをそのまま次のシャッセに滑らかに繋げていくこと。コツは、3/4くらいまで回ったところでルティレのポジションをほどき始め、アームスもアン・ナヴァンからそのまま前のクロスに持っていくこと(いったんア・ラ・スゴンドに開かないように)

 

⑲ピケ・トゥール2回+クペ・ジュテ・アン・トゥールナンを3セット行いながらマネージュ

*ピケ2回をクルックルッ!と早めに回って、少し余裕をもってクペ・ジュテ・アン・トゥールナンに入っていったほうがいい。

*クペ・ジュテ・アン・トゥールナンは最初の踏み込みが大事。そのあとは前の脚をバットマンして跳び上がる。着地したら、その勢いのままくるりと身をひるがえすように1回転して、またピケへ

 

 

 

 

「白鳥の湖」レッスン~第2&3回(9/15・22)《第2幕より白鳥達の群舞》のまとめ

 

「白鳥の湖」レッスンBlogをご愛読のみなさま(がどれだけいてくださるかは分かりませんが……)、大変ご無沙汰いたしまして申し訳ありません。

心優しい方から「ブログがしばらく更新されてないけど、倒れてませんか?!」といったお声をかけていただいたりして、本当にありがたいことでございます。おかげさまで元気ぴんぴんです。

沈黙していた間は某新国立劇場バレエ団様の全ダンサー計69名に猛烈インタビューさせていただいたり、その原稿を書きまくったり、某東京バレエ団様の公演を観に中東オマーンまで飛んだり、ついでに砂漠をドライブして砂まみれになったり、9月に開講したばかりの弊社企画《バレエ大学》がさっそく《バレエカレッジ》と改称しなくてはならなくなってショックを受けたりしておりました。

 

そのようなわけでブログのアップが約1ヵ月も遅れてしまって、とんでもなく“今さら感”はあるのですが、やっぱり非常に重要なことをたくさん学んだ回のことは記録に残しておきたいし、その学びをみなさまと広くシェアしたい……ということで、あらためまして第2回(9/15)&第3回(9/22)のまとめを合併号でお届けいたします。

 

***

 

学びましたのは、両日とも〈第2幕より白鳥達の群舞〉。きっと受講者のみなさまにとりましては、“大本命”のカリキュラムのひとつだったことと思います。

 

まずはもちろん、おなじみの30ミニッツ・バーレッスンからスタート。この両日とも、ご担当は竜太先生でした。

序盤のプリエのアンシェヌマンで、第4ポジションと第5ポジションの時の腕を、「せっかくだから白鳥のアームスにしましょう」と、ア・ラ・スゴンドで羽ばたかせるようなポール・ド・ブラにしてくださったのが私はすごく嬉しかったです。

ほんとにもうそれだけでテンション爆上がりでした。

 

そしてバーが終わると、第2回目では最初に“白鳥のアームス”を練習いたしました。

7月14日に行いました当講習会のプレ体験レッスンでも同様の内容を教えていただいたのですが、これは本当に、私たちのこれからのバレエライフの財産になるような、とても重要な時間だったな、と。

ですので、教わったポイントをできるだけ詳しく、下記にまとめてみます:

 

【白鳥のアームスのポイント】

《小さな羽ばたき》

①まず両腕をア・ラ・スゴンドに開き、アロンジェに(手のひらを下に向ける)。

この時、肩甲骨をぐーっと引き離して、脇の下の筋肉が横に張り出すくらい、腕を遠く遠くへ引っ張っておくこと!

②そこから、手のひらを絶対に下に向けたまま、肘を少しだけ持ち上げたり、また下げたりする練習を。

肘を後ろ→上→下と回すようなイメージ。肘先で小さな円を描くような動きを意識するとやりやすい

*とくに肘を下に下ろしていく時に手のひらが前を向きやすいので注意。うまくできない人は、誰か他の人にお願いして、手のひら下向きの形で押さえておいてもらおう

③慣れてきたら、肘から先もだんだん波打たせていく。

上に持ち上げる時は、肘→手首→指の第3関節→第2関節→第1関節の順に持ち上げて

そして下に下げる時も、肘→手首→指の第3関節→第2関節→第1関節の順に下に下げていく

これを、本当に指の先まで、関節の一つひとつを丁寧に使って、繊細に、滑らかに行えるように練習を!

 

《大きな羽ばたき》

①両腕をア・ラ・スゴンドのアロンジェから、肘→手首の順に上へ持ち上げていって、頭の上で手首と手首をくっつける(手のひらは外側を向いたまま)。

腕の動きに合わせて顔も上へ向けていく。

*この時すごく大事なことは、両腕を遠くへ、遠くへとグーッと引っ張りながら上げていくこと! 肩甲骨を引き離し、脇の下の筋肉を張り出させながら、そして頭の周りの空間を広く広く保ちながら、大きく丁寧に上げていく

*そしてもちろん、肩はぐーっと下げておく

*通常のアン・オーのポジションは、手のひらが額の斜め上にくる角度に上げていく(つまり腕は真上でなく斜め上に上げる)けれども、白鳥の場合は腕を真上に上げていく

②下に下ろしていく時も、肘→手首→指先の順に下へ。手のひらで外側の空気を優しく撫でるようにして、ドゥミ・スゴンドの位置まで下ろしていったら再び①を繰り返す(チュチュがあるので、アン・バーの位置までは下ろさない!)

*下ろしていく時も、両腕を遠くへ引っ張りながら

 

これらのポイントのなかで、個人的にいちばん新鮮な学びだったのは、「肩甲骨を引き離し、腕を遠く遠く引っ張りながら、腕を上げたり下げたりする」という点でした。

白鳥のアームスは、これまで通ってきた数々のスタジオでも時々練習したことがありましたが、こんなにも、本当に背中から、肩甲骨から、そして脇の下の筋肉まで意識しての“キープ・オン長い腕”で練習したことはなかったな……と。

 

わたくし、レッスン後は3日間ほど背中から肩にかけて凄まじい筋肉に苛まれて電車のつり革にもつかまれないほど(あるいはまさかの五十肩?)というのを2週連続で繰り返しましたが、その鈍い痛みすら白鳥を踊った証( ー`дー´)キリッという気がして、しみじみ嬉しかったです。

 

***

 

さて、ひとくちに〈白鳥達の群舞〉といっても、結構いろいろなシーンがあります。

おなじみの登場の場面(通称“ステテコ”)。

その後のワルツ(オデット&王子のグラン・アダージオの直前)。

それから、第2幕の終盤のコーダ。

今回もまた日本史のテストに喩えるなら、「今度の試験範囲は安土桃山時代から江戸時代までな!」というくらいの感じかなと思いますが、私は「やっぱステテコのところでしょ!」と山勘を張ってレッスンに臨みました。

 

結果は――

 

ハズレ! 0点!!!

 

今回、綾先生と竜太先生が選んでくださった場面は、「白鳥達のワルツ」でした。

ヤマは外れたけど、これはこれですごく嬉しい……!

なんてったって、音楽が素敵です。

やはりワルツというのはさすが“舞曲”だなと思ったのは、ズンチャッチャ、ズンチャッチャ♪と曲が流れ始めると、私を含めてみんなが自然と腕や体を揺らし始めたこと。

おしゃれな言い方をするならば、思わず踊らされてしまう曲、それがワルツということになりましょう( ー`дー´)キリッ

 

 

今回練習いたしましたのは、東京バレエ団がかつて上演していたゴールスキー版(同バレエ団は現在はブルメイステル版、第2幕はイワーノフ版で上演しています)の振付でした。

基本的なフォーメーションは、第1〜第4グループに分かれての縦4列

その形で前後に動いたり横移動して左右がすれ違ったりしながら踊っていくわけですが、振付じたいは、比較的シンプルだったように思います(もちろん細かいこと、繰り返しのようでいてちょっとだけ違うことなどトリッキーな部分は多々ありました)。

 

何と言っても難しかったのは、白鳥達はものすごく細く踊らなくてはいけなかったこと。

第1・4グループが上手側、第2・3グループが下手側に分かれ、それぞれ舞台の端のほうに縦2列で真っ直ぐ並ぶのですが、それが前後も横も結構なぎゅうぎゅう詰め。アラベスク・ソテだの、ピケ・アティテュード・クロワゼ・ドゥヴァンだのというステップを踏むたびに、手が前の人にバシッ!横の人にビシッ!と当たるくらいのギュッとした距離感でした。

例えば通常の第一アラベスクだと、前に伸ばす腕は手先を鼻の前に、もう一方の腕は横に伸ばしますよね。

でもこの白鳥のワルツでは、上体に捻りを利かせて、腕を横じゃなく斜め後ろの方向に伸ばすのがポイント。通常のバレエ用語では説明できないようなアングルで、おもしろい経験でした。

 

それにしても。

われわれはギュウギュウ詰めですが、フロアの真ん中は誰もいない広々とした空間。

私などはステップばかりに気を取られ、ついつい細く踊る意識を忘れてしまい、その広い空間に気持ちよーく足や手をはみ出させながら踊ってしまっておりました。

すると、綾先生が両腕を広げて壁のように立ちはだかり、このようにおっしゃいました↓

 

「ここはみなさんのスペースではありません。絶対に、1センチたりともはみ出してこないように。みなさんは10センチ幅くらいの線上で踊るつもりで細く踊ってください。」

 

……10センチ幅というと、私の足幅だけではみ出してしまう狭さです( ̄ロ ̄lll)

でも、本当にそれくらい細かく厳しく意識しないと、プロの群舞の、あのビシッと揃ったラインは実現できないのですね。。。

一人ひとりが絶対に自分に許された範囲を守って踊りきること。それが美しき群舞の掟ということになりましょうか。

 

***

 

前回の「ジゼル」レッスンでも身にしみたことですが、群舞はやはり、とても難しい。

振付を覚えるにも、まずステップを覚えて、立ち位置を覚えて、移り変わっていくフォーメーションを覚えて、動き出すタイミングを覚えて……等々、覚えることが文字通りのてんこ盛りです。

しかもこれらを自分が覚えれば良いだけじゃなくて、周りの仲間達と列を揃えなくちゃいけないし、息を合わせなくちゃいけないし、さ・ら・に、「振りをこなすこと、周りと揃えることだけに必死になるのではなくて、優雅に踊らなくてはいけません」(by綾先生)。

 

……私は舞台を観る時も、もともと群舞のシーンが大好きでしたが、こうして自分が多少なりとも群舞を学ぶ機会を得てからというもの、群舞が始まるともう目がギンギンに。そしてあたかも椅子の上に正座しているような気持ちになって、物凄く集中し、尊敬の念をもって拝見するようになりました。

 

群舞はものすごく難しい。

でも、難しいからこそ楽しくて、みんなで踊り終えた時の達成感と爽快感は格別です。

じつにやりがいがあって、学べば学ぶほど好きになる。

この感じ、たぶんジゼルメイツ(「ジゼル」レッスン受講者)や白鳥メイツ(「白鳥」レッスン受講者)のみなさまには、心底共感していただけるのではないでしょうか。

 

 

 

開講しました!「白鳥の湖」レッスン〜第1回(9/8)のまとめ

 

あの、夢のように楽しかった「ジゼル」レッスンから早半年――。

 

名作バレエのハイライトシーンを踊り、演じてみる3ヵ月間の定期講習会シリーズ第2弾がいよいよスタートしました……!

 

今期学びますのは、言わずと知れたクラシック・バレエの代名詞『白鳥の湖』

題して、「白鳥の湖」レッスン〜名場面の踊りと演技を学ぶ〜でございます!!

 

かの「ジゼル」レッスンは、高木綾・高橋竜太両先生の素晴らしいご指導と、受講者のみなさまの熱心さ&お人柄の良さがミラクルなケミストリーを生み、四半世紀にわたって数々のバレエスタジオを“道場破り”してきた私にもちょっと経験がないほどの大盛り上がりを見せました。

 

その評判が評判を呼んだり、心温かい受講者のみなさまが“口コミ”のような形でそれぞれのお友達やバレエ仲間の方々に広めてくださったりしたおかげで(わたくし何が無いって広報宣伝力がいちばん無いので本当に助けられました…)、今期は受講者募集開始からあっという間に定員満了。

我らが麗しの綾先生我らのヒーロー竜太先生、バレエを愛する25名の素敵な受講者のみなさま、そしてもちろん今回もドシーン!と体当たりでご一緒させていただきます、“踊る事務局”こと私オン・ポワント阿部。この計28名で、いざ、開幕でございますヽ(・∀・)ノ

 

***

 

9月8日(土)、第1回。

まさに開講日にふさわしく、この日のレッスンは《第1幕よりダイジェスト》

……《第1幕よりダイジェスト》って、喩えていうなら高校の日本史の先生に「今度のテストは邪馬台国から室町時代までのどっかから出題するから!」と言われたくらいざっくりなご案内で、受講者のみなさまドキドキさせて申し訳ありませんでした(==)

映像で第1幕全体を何となく予習してきた方、ヤマ勘を冴え渡らせてピンポイントで予習をしてきた方、あるいは私のように「テスト範囲が広すぎるからもう出たとこ勝負で!」と肚だけ据えてきた方、いろいろだったと思います。

 

はたして、本日練習するのはどこの場面なのか?!……というのはとりあえず置いといて、16時30分、まずはウォーミングアップのバー・レッスンからスタートしました。

 

この“30ミニッツ・バー・レッスン”は、もはや当講習会のひとつの“名物”と言ってもいいかもしれません。

まず、コンパクトなぶん各アンシェヌマンがとてもシンプルなので、純粋に基礎に集中できるのがすごく良いと思うんです。

それから綾先生や竜太先生から毎回必ずひとつかふたつ、今後のレッスンの“座右の銘”にしたくなるような、印象的なアドバイスをいただけるというのが素晴らしいな、と。

例えばこの日のバーを担当してくださった綾先生からいただいた注意で心に残ったのはこのふたつ↓

 

「後ろに脚を出す時、ジュテとかグラン・バットマンになってきたら少ーし骨盤を前傾させますが、タンデュくらいで傾けてはダメ。下腹を引き上げて、尾てい骨を真っ直ぐ下に向けたまま脚を後ろに出していけるように、すごく注意してください」

 

「デトゥルネして反対側を向く時は、細ーく立って半回転するようにしてください。内腿を締めて、ルルヴェを高ーくして、どんどん細ーく、細ーく立っていくように!」

 

ひとつめのタンデュの問題は、これ、言われてやってみるとすごく難しいんですね……。自分がこれまでいかに気持ちよーく骨盤を前傾させてイージーにやっていたかに気づかされました(==)

ふたつめの“デトゥルネは細ーく”問題、これはイイ……!!

これはすごく分かりやすいし、意識してみると本当に体がキューッと引き上がって、今後ずっと気をつけ続けることができたら、ボディも細く絞れてくるような気がしました。

 

***

 

さあ、いよいよ《『白鳥の湖』第1幕ダイジェスト》です!

いったいどの場面を練習するのか?!

――その答えが、さっそく竜太先生から明かされました。

 

「第1幕って言ってもすごく長いしいろんな踊りがありますが、今日はまさに幕開きの場面、本当に最初の部分の振付をやってみましょう」

 

ということは、あの、物悲しいけれども美しいオーボエの音が印象的な導入曲が終わった後の、ガラリと祝宴ムードに変わる華やかな音楽のところですね……?!

ターンターンターンターンターンターララッタッタタタラララタラララタラララ……ラッタッタ♪っていう、あのキタ━━(°∀°)━━━!感ハンパない音楽のところですね?!

道化が出てきて、それから王子をお迎えして、みんなでカンパーイ!ってやる、あの場面ができるのですね?!?!ヽ(≧▽≦)ノ

 

幕が上がると、そこは王宮の庭。

王子の友人たちが板付きで立っていて、パッと照明が入るとともにみんなが一斉に踊り出す。

私自身、「これから大好きな『白鳥の湖』が始まるんだ……!」というわくわく感がたまらなくて、すごく好きな場面です。

 

……が、しかし。

 

正直に白状します。

 

これまでの私は、あの場面に対して非常に油断していたといいますか、見方がすごく甘かった

 

あの場面が、あんなにも複雑だったなんて……(T□T)

 

そして、あんなにも驚愕のスピード感で踊られていたなんて……(T□T)

 

ワタクシ、今後はもう絶対に王宮の庭に足を向けて寝られません(違

 

最初から舞台上にいて(板付き)、男女で手を取り合って踊る人たち。

後から舞台に駆け込んでくる人たち。

「ねえみなさん、道化が来るわよ!」と知らせる役目の人。

単に“王子の成人のお祝いに駆けつけた人々”と一括りに捉えていたけれど、それぞれの人にそれぞれの振付や舞台上での動きがあって、それぞれが“セリフ”を語っていて

みんなで動きを合わせなくてはいけないところもあれば、逆に合わせてはいけないところもある。

そんなふうにすごく入り組んだ作りになっているからこそ、あの華やぎが生まれていたんだな……と、今回自分が習ってみてはじめてハッ!とさせられました。

 

そして音楽の、あのスピード感ですよ(T□T)

 

ステップ自体は、シャッセとかアラベスク・ソテとかパ・ド・ブーレとかスュイビとかすごくシンプルなのに、足がもつれまくるんだなコレが(==)

受講者以外の方でもしこのブログを読んでくださっている方がいらしたら、ぜひ映像などでこのシーンを見ながら、ちょっと一緒に動いてみてください。

きっともう金輪際、王宮の庭に足を向けて寝られなくなると思います(違

 

 

難しかった。

第1幕の、冒頭の数分間だけのシーンだけでしたけれど、本当に難しかった。

だけど、やっぱり最高に楽しかったです。

 

個人的にとくに楽しかったのは、まず自由に演技するところ

たとえば道化がやってくるという知らせを受けて、「まあ、道化さんが来るんですってよ♪」とか自分でセリフを思い浮かべながら身振り手振りしてみるのは、すごくおもしろい経験でした。

 

あと、道化がやってきたり、王子が登場したりするたびに、そちらに向けて腕を挙げたりしてみんなでお迎えする瞬間もテンションが上がりましたし、細かいですが王子に向かって「乾杯☆」ってするところはちょっと憧れていたので、体験できて嬉しかったです(〃ω〃)

そういった場面こそ、「ああ、いま自分はこの作品世界の住人になってるんだな……」と感じられて、わたくし足がもつれながらもとても幸せでした。

 

***

 

先ほども申し上げました通り、今回学んだシーンというのは、全員が一斉に同じ振付を踊るわけじゃなくて、いくつかの組が別々の動きをするわけです。

各組、各人がどういう動きをするかを書き留めたノートを片手に、スタジオ中を駆け回りながら指導してくださった竜太先生。

道化が登場する場面になると道化になってクルクルッとトゥール・アンレールとか回ってくださり、王子が登場するとなると王子になってくださって、綾先生と一緒にこれだけ真剣に、本当に惜しみなくパワーを注ぎ込んで教えてくださっているその姿に、私は不意に胸がいっぱいになりました。

 

綾先生、竜太先生、今期もどうぞよろしくお願いいたします……!

 

 

さあみなさま、次回(9月15日)はさっそくですがお待ちかね、第2幕より白鳥達の群舞(1回目)です!!!

プラクティス・チュチュをお持ちの方は、ご持参いただいてOKです(`・ω・´)b

 

 

 

 

【レポ&ポイントのまとめ!】 8/22 おとなにしか踊れない!ヴァリエーション・レッスン ~「ラ・バヤデール」よりニキヤの花かごの踊り~

 

8月22日――私たちのバレエライフに、またひとつ、忘れられない思い出が刻まれました。

バレエの夏の風物詩《めぐろバレエ祭り》内で開催させていただいた、おとな向け講習会「 作品&役柄解説レクチャー付き おとなにしか踊れない! ヴァリエーション・レッスン~「ラ・バヤデール」よりニキヤの花かごの踊り~」

自分で名付けておきながら噛まずに言えたことがとうとう一度もなかった長いタイトルですが、「その看板に偽り無し!」と自信を持って言える、非常に充実したワークショプとなりました。

 

あの興奮と学びに満ちた時間のことは、やはりきっちりと記録しておかなくては……とブログを書き始めたのですが、思い出せば思い出すほどキーボードを叩く手が止まらなくなりまして、気がつけばA4用紙換算で10枚にもなる長大な原稿に(==)ウム

 

みなさま、本当に長い長いブログです。

でも、『ラ・バヤデール』という作品や、ニキヤという役について教わったたくさんのことをみなさまと共有したくて、書きました。

よろしければぜひ、お時間のある時にお楽しみください。

 

***

 

【開場~レッスン開始前】

 

8月22日18時30分、めぐろパーシモンホール 小ホール。

19時のレッスン開始より30分ほど前から開場&受付スタートしたのですが、会場の扉が開いてわずか数分のうちに、ほとんどの参加者が受付を完了。みなさまの意欲と熱意と気合いのビシバシ感、最高です(`・ω・´)b

 

じつは私、当日少しだけ心配(?)していたことがありました。

それは、開催の約2週間前になって突然みなさまに「“花かご”をご持参ください(蛇はこちらでご用意してますので)」とお願いした件(こちらのブログにも書きました)。

正直を言いますと私、「用意できませんでした」という方が、少なからずいらっしゃるのかな……と思っていたんです。

それで、会場でみなさまをお迎えしながら「かごはお持ちですか~?」とお一人ずつお聞きしたのですが……何とみなさま、パーフェクトにご持参くださっておりました……!!!

みなさま、あらためまして、ご協力ありがとうございました(≧▽≦)

 

ちなみに私も、講師の川島麻実子さんに使っていただく用のものと、自分自身が使う用のものを、得意の100円ショップでかき集めたアイテムを駆使し、はりきって手作りしていきました。

 

川島さん用がこちら↓

 

レッスン中みなさまに見えやすいようレッドにしてみました

 

こちらは自分用↓

 

ワタクシ用はブルー。花を川島さんとお揃いにしてゴキゲンな仕上がり

 

 

 

しかしですね、やはり、いついかなる場合にも“上には上がいる”というのがこの世の常。

受講者のみなさまの中にはもはや花かご職人とも讃えるべき方々がおられまして、その素晴らしすぎる匠の技にビビりました↓

 

花かご職人No.1 長谷味記様。パールまであしらわれた可愛くておしゃれな逸品。こんな花かごをもらったらニキヤじゃなくてもテンション爆上がり間違いなし

 

 

花かご職人No.2 ハンドルネーム/”小道具予習に走った参加者”様。エスニックな色使いはまさに「ラ・バヤデール」の舞台である古代インドの世界観にぴったり。偶然にも、お配りした蛇の色ともベストマッチ

 

 

これらの他にも、おそらくはみなさま、花かご代わりに使えるものを、ご自宅のキッチンやリビングを一生懸命探してきてくださったのでしょう。

“ザル”とか“プラカップ”とか“箱”とか、手頃なサイズでしかも床に叩き付けてもOKなものを、じつに柔軟な発想で用意し、持ってきてくださっていました。

 

そして私からはお約束の 毒蛇くんをおひとり様1匹ずつお配りして、各自で花かごにセット。準備万端でレッスン開始を待ちました(`・ω・´)b

 

毒蛇くん。カラフルタイプ、コブラタイプなど4種類ありました

 

 

【川島さん登場! 作品解説&役作りトーク】

 

あらためまして、今回私たちを指導してくだったのは、東京バレエ団プリンシパルの川島麻実子さん

みなさんと一緒に大きな拍手でお迎えして、最初に15分ほどの〈作品解説&役作りレクチャー〉をしていただきました。

 

私はMCを務めさせていただいたのですが、間近で見る川島さんは、体の幅も厚みもリアルに私の半分ほど。

さらにお顔の小ささときたら私の1/3くらいしかなくて、ワタクシ思わず椅子を川島さんより20センチほど後ろに引き、姑息にも必殺・遠近法を使ってしまいました。

 

たった15分だったのに、トークは和やかながら大充実。

その内容をざっくりまとめますと、こんなお話でした↓

 

――川島さんの思う『ラ・バヤデール』という作品の魅力とは?

川島 登場人物全員に人間味があること、でしょうか。ヒロインのニキヤはもちろん、ソロル、大僧正、ガムザッティ、ラジャ(藩主。ガムザッティの父)、アヤ(ガムザッティの侍女)、マグダヴェヤ(苦行僧)……どの役にも感情があり、観客は必ず、誰かしら感情移入できる登場人物に出会えると思います。そしてすべてのキャラクターが人間味をもっているからこそ、場面ごとにいろいろなドラマがあります。

とても幸せなことに、私はこの『ラ・バヤデール』で女性が踊る役は、群舞からソリスト、主役まで、ほぼすべての役を踊ったことがあります。だからこそ、どの登場人物の気持ちも理解できる。それが自分の強みだと感じています。

――『ラ・バヤデール』には様々なバージョンがありますが、東京バレエ団が上演しているのは、名演出の呼び声高いナタリア・マカロワ版ですね。

川島 マカロワ版は、動きがとても難しいんです! 『ラ・バヤデール』はもともとドラマ性の強い作品ですから、踊っていると自然に感情があふれてきます。でも同時に、マカロワさんならではの細かいこだわりが、作品のあちこちにちりばめられているんですね。感情表現に集中すると動きが疎かになるし、動きに集中し過ぎると物語が途切れてしまいますから、本当に難しい。感情と動きのバランス、そして音楽との一体感がとても重要になってきます。

――東京バレエ団のプリマのなかでも、川島さんはニキヤとガムザッティの両方を踊っているというのが特別だと思うのですが、それぞれどのような女性像をイメージして演じていますか?

川島 最初にいただいたのはガムザッティ役のほうでしたし、私自身、「役をいただけるとしたらガムザッティだろうな」と予想していました。(「それはなぜ?」の質問に)なぜならそれまでも、たとえば『白鳥の湖』なら黒鳥オディールの役とか、とにかく“悪女”とか“敵役”とか、強い女性の役をいただくことが多かったので。ですから客観的に見ると、私はガムザッティタイプに見えるかもしれませんね。でも実際にニキヤも踊ってみると、私にはどちらの女性の気持ちもわかるな、と感じるようになりました。

ガムザッティは強くて冷たい女性に見えがちだけれど、それは彼女がお姫さまで、父である王が守ってくれていて、望む物はすべて手に入るような環境にいるせいでもあると思います。そんなガムザッティが、ソロルに対しては一途で、恋愛においては可憐な一面をもっている。そこが魅力的だと思いますし、きっと彼女にとってソロルは“初恋の人”なんじゃないかな? と解釈して演じています。

いっぽうニキヤは、一般的なイメージとしては、ガムザッティと対照的ですよね。強いガムザッティに対して、か弱くて儚げなニキヤ、というように。でも、はたして彼女は弱いだけなのでしょうか? ソロルに対してあれほど純粋な恋心を貫けるということは、むしろとても強い人だと言えるのではないでしょうか。ソロルへの思いの純粋さと、強さと、神に仕える巫女としての清らかさと、素直さ。これらが同居しているのがニキヤという女性で、芯の強さがあるからこその透明感、自分の気持ちにブレのないところが彼女の魅力だと思うんですね。

こうして考えてみると、ニキヤとガムザッティは全く異なる性格に見えて、じつは同じような面も持ち合わせています。そういうところに人間味を感じますし、この作品の大きな魅力だなと思います。

――さあ、これからいよいよ〈花かごの踊り〉を教えていただきます。われわれが心得ておくべきポイントを教えてください!

川島 みなさんご自身が、自分の大好きな人――恋人でも、家族でも――に裏切られたという気持ちで踊ってみてください。『ラ・バヤデール』は、踊りの技術だけでなく、感情表現も大事なポイントです。むしろ“きれいに”踊ってしまっては、逆に物語や登場人物の気持ちが観客に伝わらなくなってしまいます。この作品世界の“物語”を感じて、考えながら踊ってみてください。

 

***

 

【レッスンスタート! まずはバーでウォーミングアップ】

 

レクチャーでお話しいただいたことをしかと胸に刻み、いよいよ、レッスン本編がスタート。

 

まずは30分ほど、ウォーミングアップのバー・レッスンが行われました。

川島さんに教われるというだけでも豪華なのに、ここからはさらにアシスタントとしてダンサーの片岡千尋さんが加わってくださり、しかもレッスンはすべてピアニストの松木慶子さんが伴奏してくださるという贅沢さ。

私はもう幸せすぎて胸がいっぱいで、バーのアンシェヌマンはひたすら順番を間違いまくってしまいました(後ろにいらした方、申し訳ありませんでした(==))。

 

川島さんが与えてくださるアンシェヌマンは、すごくベーシックだけれどもちょっとだけトリッキー。シンプルなパを順序よく並べてくださっているのに、軸脚を変えたりカウントの取り方がちょっとだけ変則的になったりと、ちゃんと頭を使って集中しないとできないようになっておりました(そういうわけで私は間違いまくりました)。

そしてちょいちょい出てくる後ろのカンブレに内心(ウウウ…><)と呻き声をあげておりましたら、

「花かごのヴァリエーションは後ろに反る動きがたくさん出てくるので、今のうちに背中をすごーく柔らかくしておいてくださいね♪」

と、川島さんから素敵な声でお言葉が。な、なるほど……! 呻いてる場合じゃありませんでした(==)

 

 

【いよいよ挑戦! ニキヤの花かごの踊り】

 

短いながらもしっかりグラン・バットマンまで終えまして、ついに振付を練習するお時間がやってきました。

今さらご説明の必要もないかと思いますが、〈花かごの踊り〉はニキヤが下記のような心情で踊る場面です↓

 

まさにいま、私の目の前で、愛し合っていたはずのソロルが別の女性(ガムザッティ)と結ばれようとしている……。

けれども私は神に仕える舞姫の身。

この胸はもう張り裂けてしまいそうなのに、それでも祝いの舞を献上しなくてはいけない――。

 

うう、何という切なさでしょう……(;∀;)

 

最初に、川島さんから非常に重要なご説明がありました。それは、

「この〈花かごの踊り〉は、対角線上にドラマがある」

ということ。

 

「ニキヤの左斜め前方(舞台上手前方)には、ソロルとガムザッティが座っている。

左斜め後方(舞台上手後方)には、ガムザッティの父・ラジャがいる。

右斜め後方(舞台下手後方)には、ガムザッティの侍女・アヤがいる。

右斜め前方(舞台下手前方)には、大僧正がいる。

 

――舞台上は上記のような構造になっていることを念頭において演じましょう。

ニキヤの視線は常にソロルを意識していて、彼を見つめて踊ることが大切です。

でも愛する人の婚礼の場で踊るということはあまりにもつらい。

彼女はもうたまらなくなって逃げようとするけれど、左斜め後ろのラジャに阻まれます。

それで再び踊り出してはみるものの、あろうことか、ソロルはガムザッティの手にキスをしようとしているのを見てしまう。

あまりのことに、今度は右斜め後方に逃げようとすると、またしてもその行く手を阻むようにアヤが現れて、“ソロル様からの贈り物です”と、花かごを手渡される。

 

……このように、ニキヤが対角線上に置かれた“四方の敵”とのやり取りをはっきりと見せることで、この作品のドラマが際立ってくる。ここがすごく大切なポイントです」

 

 

この場面のドラマ性が構造的によくわかる重要なポイントで、このお話を聞けたのはとても大きな収穫でした。

 

また、この踊りの最初のポーズ――つまり下手方向を向いて立ち、右手を頭に、左手を胸に当てて天を仰ぐあのポーズをしただけでガラッと気持ちが切り替わり、すごく”ニキヤな気持ち”になれたというのも新鮮な体験で、いかにこの振付が役柄やその感情を巧みに表現しているかが理屈抜きで感じられました。

動脚を軸脚に絡ませる。両腕を真上で絡ませてシュ・スーで立つ。後ろの脚を大きく引いて体を深く沈める。ソロルに向かって腕を差し出す。ルルヴェで立ったまま後ろの脚を抜いて粘りのあるアラベスクをする。ジュテ・アントルラセからひざまずいてまた天を仰ぐ――。

振付が進むごとに、ニキヤの心情がどんどんふくらんで織り上がっていくような、そんな感じがいたしました。

 

……と、私まるで自分が流れるように踊れたかのように語ってしまいましたが、もちろんそんなわけもなく(==)

もう軸脚に動脚を巻き付ける形で片脚立ちしただけでグラグラグラ……(==)

シュ・スーで立ってグラグラグラ……(==)

ひざまずいてまたグラグラグラ……(==)

上体をドラマティックに動かさなくてはいけないぶん、とにかく一つひとつの振付をグラグラしないで行うこと自体が極めて難しいことなのだと思い知りました。

 

***

 

今回私たちが教えていただいた場面は、蛇に噛まれて絶命するところまで含めると6分ほどもある長いシーンです。

 

切なく苦しい思いに時折耐えきれなくなりながらも踊り続ける前半。

「ソロル様からの贈り物です」と花かごを渡され、束の間の喜びが胸に広がる後半。

そして蛇に噛まれ、ガムザッティに怒(いか)り、ソロルに絶望して、生きることよりも死ぬことを選択する最期の場面。

 

……受講したみなさまは、とくにどのあたりが印象に残ったでしょうか?

どのあたりが、踊ってみて楽しかったでしょうか……?

 

私はやはり、花かごをもらってから蛇に噛まれ、絶命するところまでのくだりに挑戦できたのが、本当に嬉しかったです。

 

普段のレッスンや発表会では、嬉しい気持ちや幸せ感を表現することはあっても、“悲しみ”や“怒り”や“嫉妬”や“絶望”を踊るというのは、なかなか経験できません。

だから、とにかくそれを学びたかったし、体験してみかった。

大人の私たちが、どのくらい心を動かして踊ることができるのか。

どのくらい、激しい感情に突き動かされることができるのか。

それを体感してみたかったというのが、この講習会を企画した最大の理由のひとつでした。

 

その意味では、本当に正直に申し上げますが、みなさん想像していたよりもずっと豊かに感情を表現していて、なかには非常に真実味のある演技ができる方もいらしたりして、驚きました。

愛する人に裏切られた悲しみ、悔しさ、嫉妬、怒り、絶望……自分自身の人生経験や、内にある感情を、表面に引きずり出してこなくては、この振付は絶対に完成しないのだと思います。

みなさんの踊り、素晴らしかったです。

とくに、ガムザッティに思わずつかみかかろうとしてラジャに制される場面や、毒蛇に噛まれた自分に背を向けて去って行くソロルに向ける、絶望のまなざしなど……これぞまさに、“おとなにしか踊れない踊り”であると感じさせてくれるパフォーマンスでした。

 

あと、個人的には、ささやかなことですが、蛇をバシッ!と床に叩き付けるシーンをやれて嬉しかったです(。-_-。)ポッ

意外と、毒蛇くんの頭部は花かごの中で行方不明になりがちで、(あっ…しっぽをつかんじゃった><)と肝心なところで気持ちが素に戻ったりして難しかったのですが、とにかく、念願の“カプッ!”からの“バシッ!”ができて、私は非常に満足です。

 

***

 

その他、川島さんから教わったなかでとくに印象に残ったことをいくつか挙げますと、

 

  • 振付のなかには何ヵ所か、踊り手が好きなようにアームスを使ってよいところがあること。

そこでどんな思いを込めるかによって作品としても表現の可能性が広がるし、踊る人にとっては自分自身の“真実の演技”が試されるということ。

これは、とても大きな挑戦をさせていただきました。

 

  • また、このマカロワ版は「シャッセ」の動きが非常に特徴的だということ。

通常のレッスンや一般的な踊りでは、シャッセといえば足裏全体を床につけてズーッと擦り出す動きだけれども、マカロワ版は足先をしっかりポワントにしてつま先だけを床につけ、それを遠くへ滑らせて脚を運ぶのだということ。

そしてこの特徴的なシャッセがたくさん積み重なって、あの独特な粘りのあるニュアンスが生まれているのだということも、非常に印象深い学びでした。

(でもこのシャッセ、実際にやってみると、見た目からは想像ができないくらい神経を使うし、難しいし、大変でした……(@_@))

 

 

【レッスンを終えて…】

 

このヴァリエーションはテクニックじたいも非常に難しかったのですが、ステップを踊りこなす以上に学ぶべきこと、挑戦すべきことがたくさんありました。

もう頭は完全にはち切れそうでしたけど、みなさま自身の手で、作品の核心に少しだけ触れることができた経験だったのではないでしょうか。

 

川島麻実子さん、片岡千尋さん、本当に惜しみなくお手本を見せてくださり、いろいろな言葉を尽くして私たちを指導してくださって、本当にありがとうございました。

ピアニストの松木慶子さん、時にステップが間に合わなかったりする私たちのマイペースな踊りに寄り添い、あの長い曲を何度も何度も弾き続けてくださって、本当にありがとうございました。

 

そしてご参加くださったみなさま、きっと誰もが初体験だったはずのこの踊りに、勇気を出して挑戦してくださって、本当にありがとうございました。

みなさまのチャレンジする気持ちと、バレエを学ぶことに対するひたむきな姿勢と、人生経験の豊かさこそが、あの熱気を生み出したのだと感じています。

 

思い出の品としてお持ち帰りいただいた毒蛇くんがご家族のみなさまをびっくりさせないよう、保管場所にはどうぞお気を付けください(`・ω・´)b

弊社ではこれからも様々な企画をしてまいります。

またいつかどこかで、ご一緒に踊りましょう……!!

 

(有)オン・ポワント

阿部さや子